
中部電力が10月7日、浜岡原子力発電所1号機(静岡県御前崎市)で原子炉の解体撤去工事に着手したと発表しました。商業用原子力発電所の原子炉解体作業としては、今年3月に開始した浜岡2号機に続く国内2例目の本格的な廃炉作業となります。
この解体作業は、4段階に分かれた廃炉プロセスの第3段階で、放射線量が高い原子炉本体や格納容器の解体撤去を行うものです。7日午前には建屋内にある原子炉圧力容器の上蓋が大型クレーンで取り外され、本格的な解体工事が開始されました。使用済み核燃料はすでに2017年11月に取り出しを完了しており、今後は圧力容器や格納容器の解体作業が進められる予定です。
浜岡1号機は、1976年3月に営業運転を開始した日本初期の商業用原子炉の一つです。約33年間の運転を経て、耐震補強工事にかかる費用などを理由に、中部電力は2008年12月に1号機と2号機の廃止を決定しました。2009年1月30日をもって運転を終了し、現在に至るまで廃炉作業が進められています。
中部電力の廃炉計画では、2035年度までに原子炉本体の解体を完了し、建屋の撤去などを含めた廃炉全体は2042年度に完了する予定です。この大規模プロジェクトは約30年間にわたって実施される予定で、第1段階の解体工事準備期間から第4段階の建屋等解体撤去期間まで段階的に進められます。
現在進行中の第3段階は、原子炉圧力容器の上蓋解体から始まりました。今後、12月にかけて、帯状の刃が回転する大型バンドソーなどの特殊工具を使用した切断作業が行われます。同作業は日本で初めての商業用軽水炉の原子炉領域解体作業であり、国内の原子力業界において重要な先例となります。
解体撤去物45万トン、安全確保を最優先に作業
廃止措置全体で発生する解体撤去物は約45万トンにのぼり、その約8割は放射能を含まない部位のため一般産業廃棄物として処理可能です。残りの約2割のうち、きわめて微量な放射能を含むものは、法令基準を満たせばクリアランス品として資源の再利用が可能となります。
中部電力は、安全確保を最優先に作業を進めています。発生する放射性廃棄物については、廃棄先が決まるまで建屋内で安全に保管する方針を示しました。同社は、2号機の先行解体で得られた経験や知見を1号機の廃炉作業に活用し、効率的で安全な作業の実現を目指しています。









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