ニデック、東証が「特別注意銘柄」に指定 内部管理体制に大きな課題

ニデック、東証が「特別注意銘柄」に指定 内部管理体制に大きな課題

東京証券取引所は2025年10月28日付で、ニデック株を「特別注意銘柄」に指定することを発表しました。この指定は、同社の2025年3月期有価証券報告書について、監査法人のPwCジャパンが「意見不表明」という異例の判断を下したことが主な理由です。東証は、同報告書に関連して過年度決算訂正の恐れを含め、適正な決算内容の開示ができていない状態が継続していると指摘しており、最初の問題発覚以降、調査の追加が繰り返されている状況や、第三者委員会の調査終了時期が不明な点、決算スケジュール正常化の見通しが示されていない点などを問題視しています。

特別注意銘柄とは、東証が上場会社の内部管理体制などについて改善の必要性が高いと判断した際に指定される制度です。有報の虚偽記載や適時開示規定違反が認められた場合などに指定される可能性があります。指定されると、原則として1年以内に内部管理体制を適切に整備・運用することが求められます。適切に整備されていると認められても、運用が不十分と判断されれば指定は継続され、内部管理体制確認書の再提出が義務付けられることになります。

現行制度となった2024年1月以降、ニデックを除いてこれまで5社が指定されています。プライム市場上場のACCESSは、不適切会計を理由に指定されました。制度変更前の「特設注意市場銘柄」では、オリンパスが損失計上の先送りで2012年1月から2013年6月まで指定され、東芝も不正会計問題で2015年9月から2017年10月まで指定されています。最も深刻なケースとして、過去には京王ズホールディングスとグローバルアジアホールディングスが、上場廃止に至っています。

経営・株価への影響と今後の対応

ニデックへの指定により、社会的信用力の毀損と企業価値・株主価値への悪影響が懸念されています。ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストは、公募増資などの資金調達に影響が出て、企業価値向上施策の実行が難しくなる可能性を指摘しています。また、ムーディーズ・ジャパンがニデックの格付け「A3」を引き下げる方向で見直すと発表しており、借り入れ時の金利上昇も懸念されます。

一方で、ニデックが手掛けるハードディスクドライブ向けスピンドルモーターなどの主力製品は高いシェアを占めており、事業活動への直接的な影響は軽微との見方もあります。しかし、現在進行中の第三者委員会による会計処理問題の調査や、グループ会社の経営陣関与を示唆する資料の発見など、信用回復への道筋は不透明です。専門家は、今後の株価動きはネガティブになるだけでなく、機関投資家がポジション縮小を進める可能性が高いと指摘しています。東証は、日本取引所自主規制法人による継続審査を進め、新たな問題発見時には追加的措置を講じる方針です。

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