中国で「約60万円」の人型ロボット発表 教育・家庭への普及を目指す新展開

中国で「約60万円」の人型ロボット発表 教育・家庭への普及を目指す新展開

中国の新興ロボットメーカー「加速進化」が10月24日、一般向けエントリーモデルの人型ロボットを発表しました。価格は2万9900元、日本円で約60万円と従来より大幅に低価格化されており、教育現場や家庭での普及を目指す画期的な製品として注目を集めています。​​

加速進化は、サッカーやダンス、人工知能を活用して会話できるモデルなど、異なるタイプの人型ロボットの開発を進めてきた企業です。すでに700台以上が国内外の大学などで使用されており、今回発表されたエントリーモデルは機能を絞り込むことで価格を抑え、より広い層へのアクセスを可能にしました。​​

同社は、今年6月に開催された北京のロボットスポーツ大会でサッカー用にロボットを提供しました。今回のエントリーモデルは、当時と比較して大幅なコストダウンを実現した製品です。小型軽量で子供でも扱いやすく、発表会場を訪れた地元の小学生たちは実際にロボットに触れて「1つ買って試してみたい。学校にあったらもっと面白くなる」と期待を膨らませていました。​​

同社CEO の程昊氏は「ヒト型ロボットをパソコンのように簡単で、信頼性が高く、実用的なものにしたい。実験室と競技場から歩み出て、汎用的なプラットフォームにしていく」と語り、近い将来の実用化を目指しています。開発会社の担当者は「低価格なロボットの販売により、学校や家庭での普及が進むだろう」と期待を示しました。​​

加速進化は人型ロボット産業で存在感を高めている企業です。同社は2025年6月28日に北京で開催された「RoBoLeagueロボットサッカーリーグ」の大会組織委員会の実行ディレクターとして、4つの大学チーム全てにハードウェアを提供しました。

大会では清華大学の火神チームが優勝を果たし、中国のロボット技術の高さを世界に示しました。同社は急速に成長しており、2024年以降複数回の資金調達に成功しています。

中国が牽引する人型ロボット産業の急成長

中国における人型ロボット市場は急速な拡大を続けており、2025年の中国の人型ロボット市場規模は82億3900万元で、世界の約50%を占める見込みです。また、エンボディドAI市場規模は52億9500万元で、世界の約27%を占めると予測されています。

中国政府も人型ロボット産業を強力に支援しています。中国工業情報化部は2023年に「人型ロボットイノベーション発展指導意見」を公表し、人型ロボット産業を国家戦略として位置付けました。この指導意見では、2025年までに基盤となるイノベーション体制を確立し、国際的に先進レベルの製品を量産段階へ移行させるという工程表を示しています。

10月23日に閉幕した中国共産党の重要会議では、科学技術の自立自強を加速させ、「新たな質の生産力」を発展させることが次の「5カ年計画」として採択されるなど、国を挙げた産業の育成が進められています。​​

米調査会社IDCは、世界のロボット市場が2029年に4000億ドル、約59兆円を超えると予測。特に中国市場は年平均成長率約15%で拡大し、世界シェア5割近くを占める最大市場となる見通しです。2025年の商用人型ロボットの中国出荷台数は約5000台となり、年平均成長率95%で急拡大し、2030年には約6万台に達する見込みです。​

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