いま世界中で任天堂の映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が話題になっています。4月28日に日本で公開されると10日間で65億円を稼ぎ、ゴールデンウィークも稼働率・売上ともに好調でした。
米映画情報サイトのボックス・オフィス・モジョによれば、足元の世界興行収入は12億ドル弱であるとのことです。アニメ映画で歴代最高記録(14億5,000万ドル)の『アナと雪の女王2』の記録まであと少しです。
JPモルガン証券の森はるか氏は『アナと雪の女王2』程度の興行収入に達した場合、利益への貢献は300〜400億円規模になると予想しています。マリオの映画がヒットし、任天堂への期待が高まったことで、任天堂の株価も海外公開日の4月5日の終値から4月末まで約9%上昇しました。
そもそも今回のマリオ映画は、任天堂と米ユニバーサル・ピクチャーズが共同出資して制作したものです。出資比率は公開されていません。
マリオの生みの親である宮本茂代表取締役フェローは、マリオ映画の制作や試写会の反応について「今回はいい意味で緊張感を持って最後まで楽しめるものができました。米国での試写の反応を見て、結構なところまでいくかもなとは思っていました」とコメントしています。
マリオ映画がヒットしても任天堂の業績は減益
任天堂は9日、2023年3月期の連結決算を発表しました。マリオ映画がヒットしている現状ですが、主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売台数が減速していることもあり、任天堂の業績は順調ではありません。
任天堂の2023年3月期の連結経常利益は、前期比10.4%減の6,010億円となり、2024年3月期も前期比20.1%減の4,800億円に減る見通しです。関係者からは「4月は幕あいつなぎ的に株価が上昇したにすぎない」との声もあがっています。
任天堂の業績を左右するのはやはりゲーム事業であり、「ニンテンドースイッチ」の売れ筋が全体の業績に大きく影響を与えます。中核となるゲーム事業では、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』や『スプラトゥーン3』などのゲームソフトの売れ筋は好調。
しかし「ニンテンドースイッチ」本体は、販売台数が前期比で22.1%減の1,797万台となりました。そんななか、「ニンテンドースイッチ」の後継機も噂されており、多くの人が新しいゲーム機の発売を楽しみにしています。今後も任天堂の動向を追っていきます。