
中小企業の従業員や家族ら約4000万人が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)が、2026年度に平均保険料率を引き下げる方向で調整に入ったことが12日、明らかになりました。現在の10.0%を9.9%に引き下げる方針で、実現すれば協会けんぽの前身である政府管掌健康保険時代の1992年度以来、34年ぶりの引き下げとなります。
保険料率は企業と従業員が折半して負担するため、0.1%の料率引き下げにより、加入者1人あたり年2000円ほどの負担減になるとみられます。今月下旬に有識者や事業主、加入者代表からなる運営委員会で議論し、2026年4月納付分(3月分)から適用の予定です。
引き下げの背景には、賃金上昇による保険料収入の増加と財政の安定化があります。協会けんぽが7月4日に発表した2024年度決算(見込み)では、収支差は6586億円の黒字となり、協会発足以来最大の黒字額を記録しました。
黒字は15年連続となっており、収入は前年度比2421億円増の11兆8525億円。保険料収入は賃上げ等による標準報酬月額の上昇や被保険者数の増加により、前年度比3492億円のプラスとなりました。
医療給付費など支払いに備えて積み立てる準備金は、2024年度末時点で5兆8662億円まで積み上がっており、法令で定める水準(保険給付費等の1カ月分相当)の6.6倍に達しています。
協会けんぽの平均保険料率は2012年度以降、10.0%で据え置かれてきました。1992年度に8.4%から8.2%に引き下げて以来、実質的な引き下げは今回が初めてとなります。
健保組合への影響と支援金の徴収開始
今回の保険料率引き下げは、大企業の従業員や家族らが加入する健康保険組合にも影響を与える可能性があります。健保組合の料率が協会けんぽを上回ると自前で運営する利点が薄れることから、協会けんぽの料率は「解散ライン」と目されています。
健康保険組合連合会によると、2024年度に保険料率が10%以上だったのは334組合と過去最多で、全体の24.2%を占めました。厚生労働省は協会の料率引き下げに伴う健保組合の解散を防ぐため、財務省と財政支援について調整する方針です。
一方、2026年度からは少子化対策の財源として医療保険料に上乗せする「子ども・子育て支援金」の徴収も始まります。こども家庭庁の試算によると、協会けんぽの加入者の場合、2026年度は1人あたり月250円程度の上乗せとなる見込みです。
現役世代の負担を抑え、手取りの増加による内需拡大の好循環を実現するには、保険制度全体の見直しが欠かせません。支払い能力のある高齢者の負担増など、改革の行方が注目されます。












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