
ミャンマーの中国系犯罪組織が運営する特殊詐欺の拠点で、日本人高校生が中国人の「上司」から詐欺行為を強要されていたことが明らかになりました。
愛知県在住の16歳の少年は、2024年11月に通信アプリ「テレグラム」で知り合った人物から海外での仕事を紹介され、12月にタイへ渡航しました。そこからミャンマー東部のミャワディまで連れて行かれ、特殊詐欺の拠点で働かされていたのです。
少年は「上司」から日本人をだます「かけ子」役を命じられ、拒否すると電気ショックを受けるなどの脅しを受けていました。同じ敷地内には職場と住宅が整備され、ノルマを課されて報酬も受け取っていたといいます。
少年は県警に対して、「8人くらいの日本人が同じ仕事をしていた」とも証言しています。少年は2025年2月、家族に助けを求め、タイ当局に保護されました。
現在は日本に帰国し、愛知県警が詳しい事情を聴いているとのことです。国境を越えて若者を勧誘し、犯罪に巻き込む悪質な手口に警鐘を鳴らす事件となりました。
ネット上では、「国外問わず同胞が犯罪を犯しているならキッチリ取り締まって頂きたい」「日本人も中国人に使われるようになったか」「その中国人上司を調べないといけないね」などの意見が寄せられています。
タイ警察、関係20ヶ国とバンコクで協議 情報共有を強化
少年の家族からタイ側に捜索要請があり、少年本人から「中国マフィアに詐欺をさせられている」と連絡があったことで、少年はようやく保護されました。
この問題を受け、タイ警察は2月17日、関係20ヶ国とバンコクで協議し、情報共有を強化することで一致しました。警察幹部は「ミャンマーの詐欺拠点には1万人以上の外国人がいるだろう」と発言しています。
タイ政府は今月に入り、ミャンマーへの電力供給を停止するなど、特殊詐欺拠点への対応を強化しています。これを受けて、地元の少数民族勢力も拠点の取り締まりに乗り出し、約20ヶ国から来ていた外国人約300人をタイ側に移送しました。
タイ政府は今後も、1日最大500人程度の外国人をミャンマーから受け入れる方針です。各国と連携しながら、だまされて連行されたのか、それとも自発的に詐欺に加担したのかを調べていくことになります。
また、少数民族武装勢力の幹部は「外国人は中国人の他にインド人や日本人などがいる。今月末までに特殊詐欺拠点を一掃させる」と発言しました。国際社会が協力して、一刻も早い撲滅に向けた取り組みが求められます。