実質賃金3.8%低下、8年6ヶ月ぶりの大幅マイナス 物価の値上げが影響か

厚生労働省が6日に公表した「毎月勤労統計調査 2022年11月分結果速報」によると、実質賃金が前年比3.8%低下し、2014年5月以来8年6ヶ月ぶりの大幅な下落となったことがわかりました。

2022年10月に、食材や酒類などの値上げが一斉に実施されました。2023年になってからもこの値上げラッシュは止まらず、マクドナルドなどのファストフードをはじめとし、スーパーカップやランチパック、魚肉ソーセージといった食品も値上げの対象に。

2022年11月における労働者1人あたりの現金給与総額は、前年の同じ月と比べて0.5%増加。現金給与総額は11ヶ月連続で上昇していますが、物価変動を反映した実質賃金に関しては8ヶ月連続でマイナスでした。物価の高騰に、賃金の上昇が追いついていない実態が明らかになっています。

また多くの業界では、毎月決められた金額が支払われる「所定内給与」は上昇傾向にありますが、その一方で、休日労働や深夜労働に対して支払われる「所定外給与」については、前年と比べてプラス幅が縮小傾向にあります。

さらに製造業や運輸業ではボーナスが減少するなど、物価の高騰に対して賃金の落ち込みが一部見られました。この実質賃金の落ち込みは景気の下押し要因になることから、政府は2023年の春闘にて企業の賃上げを呼びかけています。

5日に経済3団体の新年祝賀会に参加した岸田首相は、「賃上げが追いつかなければ、スタグフレーションに陥ってしまうと警鐘を鳴らす専門家がいる」と危機感を示しました。

経団連の十倉雅和会長、賃上げを求める考えを明らかに

10日の記者会見にて経団連の十倉雅和会長は、「物価動向を一番重視し、持続的で構造的な賃上げを目指して企業行動を転換する絶好の機会」という表現を盛り込み、「企業の社会的責務」として大幅な賃金の引き上げを会員企業に求める考えを明らかにしました。

また、十倉雅和会長は「日本はデフレマインドが染みついて値上げに消極的だったが、それが崩れてきている」と指摘しているほか、賃金と物価のバランスがとれた「賃金と物価の好循環」の実現に向けて、「物価高に負けない賃上げを呼び掛けていきたい」と語りました。

なお、実質賃金が大幅なマイナスとなった現状に対して、ネット上では「負担が大きすぎて不満が止むことはない」「税金や社会保障費の負担が高くなり続けているのも問題では」「本当に日本を脱出するときが来るかもしれない」という意見が示しています。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 静岡県の川勝平太知事は28日、定例記者会見でリニア中央新幹線静岡工区における大井川の水問題対策として…
  2. 政府は11月22日、子どもと関わる職に就く人の性犯罪歴を確認する新制度「日本版DBS」の導入に向け、…
  3. 「子どもの適切な睡眠時間とは?とくに幼稚園児について」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)
    睡眠はとても重要です。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本は先進国の中で、睡眠時間が最も…

過去よく見られている記事

  1. 新宿矯正展

    2023-8-30

    新宿矯正展とは?刑務所で作られた製品が多数販売!主催の府中刑務所についても紹介

    2023年8月3日(木)〜9日(水)にかけて、およそ3年ぶりに新宿矯正展が開催されました。現地の様子…
  2. 青森刑務所内で開催された受刑者向け慰問活動『えんぶり』と観覧する受刑者たち

    2023-8-28

    青森刑務所内で4年ぶりに受刑者向け慰問活動『えんぶり』が開催

    2023年7月26日(水)青森刑務所内の講堂にて行われた八戸朳(えんぶり)研賛会による『えんぶり』と…
  3. 2023-4-11

    30〜70歳代の貯蓄ゼロが約2〜3割 貯蓄を増やすための効果的な節約術とは

    金融広報中央委員会は2023年2月、「家計の金融行動に関する世論調査2022年(二人以上世帯調査)」…

【結果】コンテスト

東京報道新聞第3回ライティングコンテスト (結果発表)

インタビュー

  1. 柳沢有紀夫氏|海外書き人クラブのお世話係
    『海外書き人クラブ』という世界各国で活躍する日本人ライター集団のお世話係として活動する柳沢有紀夫氏。…
  2. 演歌歌手・琴けい子
    演歌歌手生活40年を越えた琴けい子氏が、デビュー当時から精力的に行っているのが全国の刑務所を巡るボラ…
  3. 寺田真理子
    メンタルヘルスの問題に悩む人は多い。一見すると万事順調に見える人がうつ病を経験していることも珍しくな…
ページ上部へ戻る