和歌山県の資産家、野﨑幸助氏の不審死をめぐる裁判で、和歌山地裁は12日、殺人罪に問われた55歳年下の元妻・須藤早貴被告に無罪判決を言い渡しました。野﨑幸助氏は2018年2月、須藤早貴被告と結婚したわずか3ヶ月後に急性覚醒剤中毒で亡くなっています。
警察は須藤早貴被告が覚醒剤を経口摂取させたとみて捜査を進めましたが、直接的な証拠は見つかりませんでした。死亡当日に2人きりだったことやインターネットでの覚醒剤の検索履歴など、状況証拠を積み重ねて3年後に逮捕に至りました。
須藤早貴被告は法廷で「私は社長を殺していません。無罪です」と全面的に否認。しかし、野﨑幸助氏から初対面で100万円を渡されプロポーズされた際の心境を「お金をパッとくれる人だからラッキー。上手く付き合っていこうと思いました」と証言しています。
検察側の状況証拠の積み重ねに対し、須藤早貴被告は終始無罪を主張していました。和歌山地裁は合理的な疑いを払拭するには至らないとして、無罪判決を下しました。
ネット上では、「状況証拠や被告の不自然な言動から限りなく黒と思う」「怪しいのは確かだが、決定的証拠がないからな」「密室だから、カメラでもない限り証明出来ないでしょう」などの意見が寄せられています。
覚醒剤の供述について「怖くて言えませんでした」と釈明
「紀州のドン・ファン」こと野﨑幸助氏の死をめぐる裁判で、元妻の須藤早貴被告は、野﨑幸助氏が愛犬の死後に自殺願望を口にしていたと主張しました。また、死の1ヶ月半前には野﨑幸助氏から頼まれて覚醒剤を購入したものの、偽物だったと訴えています。
須藤早貴被告は法廷で、野﨑幸助氏から「ダメだから覚醒剤を…」と言われ、冗談で「お金くれたらいいよ」と返したところ、20万円を渡されたと証言。しかし翌日、野﨑幸助氏から「使い物にならん、ニセモノや」「もうお前には頼まん」と言われたとのことです。
一方、起訴前には「野﨑さんから覚醒剤の話が出たことはない」と供述していた須藤早貴被告。この矛盾を問われると、「言ったらどうなるか分からないから」「現にいまこうして、氷砂糖を買っても逮捕・起訴されているわけですから。当初から殺人者扱いでしたし、怖くて言えませんでした」と釈明しました。
被告人質問の最終日には、野﨑幸助氏への恨み節まで飛び出します。「もうちょっと死に方を考えてほしかったというか、社長があのタイミングで死んだせいで私は何年も人殺し扱いなので」と述べています。検察は「遺産目当ての殺人は、強盗殺人と同程度の悪質さ」と厳しく糾弾し、無期懲役を求刑しました。