米当局がエーザイのアルツハイマー病治療薬を迅速承認 欧州医薬品庁にも申請

米食品医薬品局(FDA)は6日、日本の大手製薬会社のエーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を迅速承認したことを発表しました。この迅速承認は条件付きで、データの有効性などを改めて提出する必要があるとされます。

さらにエーザイは7日、米国でもフル承認の申請を提出したと発表しました。エーザイはレカネマブの承認に向けて、各方面に申請を提出しています。

レカネマブは認知機能に障害が出始めた早期のアルツハイマー病患者が対象で、患者の脳にたまる異常なタンパク質「アミロイドβ」を減少させる効果があるとされ、病期の進行を平均で約3年遅らせることができるとのことです。

用法・用量としては、治療開始前にAβ病理が確認された患者に対して、10mg/kgを推奨用量として2週間に1回点滴静注します。主な副作用は、Infusion Reaction(発熱や寒気などの症状)、頭痛、咳、下痢などです。

レカネマブが承認されたことについて、エーザイのCEOを務める内藤晴夫氏は記者会見にて「涙が一滴出ましたね。我々の努力が正式にドーンとスタンプを押されて、OKと言われたことなんで、ですね、その感慨はあるんだなと」と語りました。

なお、エーザイは患者の生活の質の向上や、介護費の減少などで数百億ドルの社会的価値をもたらすとして、アメリカでの価格を体重75キロで年間2万6,500ドル(350万円)に設定しました。

エーザイは欧州医薬品庁(EMA)にレカネマブの販売承認を申請

11日、エーザイは欧州医薬品庁(EMA)にレカネマブの販売承認を申請したと発表しました。2023年度中の承認を目指しており、この申請が承認されれば、欧州連合(EU)の域内で販売できるようになります。

EMAに申請を行ったのは9日付で、まず受理の可否の手続きが行われ、その後に承認に向けた審査を受けるというのが一連の流れです。

エーザイは日本でも3月までに承認申請を行うとされ、日本での手続きを進め「一日でも早く承認を得たい」としています。

エーザイのレカネマブが迅速承認されたことについて、ネット上では「認知症で大変な思いをする人が少しでも減ってほしい」「普通にすごいことだよね」「本当にアルツハイマーの進行を3年も遅らせることができるの?」といった声があがっています。今度のエーザイの動向に注目したいところです。

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