
外資系生命保険大手のプルデンシャル生命保険は1月16日、社員や元社員約100人が顧客約500人から金銭をだまし取るなどの不適切な行為を行っていたと発表しました。不正に受け取った総額は約31億4000万円に上り、1991年から2025年にかけて約35年間にわたる組織的な問題が明らかになりました。この事態を受けて間原寛社長兼最高経営責任者(CEO)は経営責任を明確にするため、2月1日付で引責辞任することを決めました。
社内調査によると、不正行為は大きく二つに分類されます。一つ目は同社の制度や保険業務に関連した金銭詐取で、元社員3人が在職中の2017年から2025年にかけて計8人の顧客から計約6000万円をだまし取っていました。熊本支社の20代の元社員は2021年から2025年にかけて「プルデンシャルの社員しか買えない株があり、絶対利益が出て元金は保証する」などと勧誘し、3人から約720万円を詐取していました。また東京・汐留支社の30代の元社員は2017年から2023年にかけて架空の投資話を持ちかけ、会社の申込書類も悪用して4人から約5300万円を受け取っていたことが判明しました。
二つ目は同社の制度や保険業務とは関連がない手口による不適切な金銭受領で、社員・元社員計106人が1991年以降、498人の顧客に対し暗号資産などへの投資やもうけ話を持ちかけて金銭を着服したり、金銭を借りて返さなかったりしていました。在職中や退職後に計約30億8000万円を受け取り、うち約22億9000万円が顧客に返金されていない状況です。
プルデンシャル生命をめぐっては2024年6月に元社員が投資金の名目で顧客から金銭をだまし取った詐欺の疑いで石川県警に逮捕される事件が発生し、これをきっかけに同年8月から全顧客を対象とした社内調査が進められてきました。調査結果は既に金融庁に報告されており、金融庁は「大変遺憾だ。再発防止策の策定を厳格かつ速やかに進めることが重要」とコメントしています。
一連の不祥事を受けて2025年10月には持株会社プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパンの浜田元房会長兼CEOが辞任していました。今回、間原社長の後任にはグループ会社のプルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険で代表取締役社長兼CEOを務める得丸博充氏が就任します。
同社は「被害を受けられた方をはじめ、皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけし、深くおわび申し上げます」と謝罪し、再発防止策として営業社員の活動管理強化、報酬制度の見直し、組織風土の改善などを進めるとしています。
プルデンシャル生命、完全歩合制が生んだ闇
今回の大規模不正の背景には、プルデンシャル生命特有の営業体制があると指摘されています。同社のライフプランナーは入社3年目以降、完全歩合制(フルコミッション)で働くため、営業成績が収入に直結する仕組みとなっています。トップセールスは年収数千万円を得る一方、成果を上げられない社員は収入が減少し、金銭的な不安を抱えることも少なくありません。
同社は今回の問題について、営業社員の活動管理が十分に行われていなかったこと、営業成績に過度に連動する報酬制度が原因と分析しています。再発防止策として新契約の業績だけでなく、コンプライアンスやアフターフォローを評価に組み込む報酬制度への改革を進めるとしていますが、35年間にわたり見逃されてきた管理体制の抜本的な見直しが求められます。









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