ビッグモーター(東京)が起こした自動車保険の不正請求の問題により、損害保険ジャパンの白川儀一社長は8日、東京都内での記者会見で引責辞任を発表しました。不正の可能性を認識しながらも、ビッグモーターとの取引再開を決めたことを公表しました。
記者会見で白川儀一社長は、「反発を恐れ、厳正な対応ができていなかった」と語り、取締役会を経ずに取引を再開した背景に、両社間の癒着があったことも明かしました。一連の不正請求事件は、白川儀一社長の辞任という結果にまで発展しており、辞任の詳細や後任に関しての今後の動向が注目されます。
また、親会社であるSOMPOホールディングスの桜田謙悟会長兼グループCEOも同じ会見に参加。「私にも何らかの責任はある」と発言し、外部弁護士による調査の結果を待つ意向を示しています。
金融庁が近日中に、損保ジャパンとビッグモーターへの立ち入り検査を予定していることも明らかになりました。この検査で、両社の癒着や不正の詳細がより明確になることが期待されます。
ネット上では、「詐欺の片棒を担いでいたわけだから当然」「調査結果が出る前に白川社長一人が辞めるのは違和感があります」「この会見さ、信じている方はほぼいないよ」などの意見が寄せられています。
ビッグモーターが社内の内部通報体制を改善
消費者庁は、ビッグモーターが社内の内部通報体制の改善を行ったことを確認したとして、今後は適切な運用を実施し、半年後に状況を報告するよう指導したことを公表しました。
公益通報者保護法に従い、従業員数が300人を超える事業者には通報窓口の設置など、内部通報の体制整備を義務付けています。しかし、ビッグモーターの保険金の不正請求問題については、外部弁護士が組成する調査委員会の報告書で、「通報制度の対象がハラスメント事案に限られ、調査方法などに関する規程も整備されていない」などと指摘されています。
そして消費者庁が聞き取りを行ったところ、体制が不十分であったことが確認できたとして、法律に基づく現状や改善策などの報告を指示していました。この問題に対し、4日に当該企業から報告があり、消費者庁によれば通報受付窓口の設置など、体制の整備が行われたことが確認できたとのことです。
これを受け、消費者庁は対策の実効性を確認するため、半年後に運用状況の報告を求める指導を8日に行いました。河野消費者担当大臣は「内部通報への体制がとれていない企業がほかにもあることが想定できるので、消費者庁としてどのように点検し、対応していくのか検討していきたい」と述べました。