「麻薬王」息子のオビディオ被告が銃撃戦の末に身柄拘束 旅客機が銃弾を受ける

5日にメキシコで、「麻薬王」と呼ばれたホアキン・グスマン受刑者の息子であるオビディオ・グスマン被告が身柄を拘束されました。その際、麻薬の製造・販売を行う組織側が抵抗し、激しい銃撃戦が発生。

地元当局は急襲作戦を決行し、その衝撃による死者数は計30人にまで上ったと明らかにしました。死亡したのは治安当局の11人と、麻薬組織「シナロア・カルテル」のメンバーらしき人物19人です。また、この銃撃戦によって50人以上が負傷しました。

さらに銃撃戦は、メキシコ北西部クリアカンからメキシコシティに向けて離陸しようとしていたアエロメヒコ航空の旅客機にまで影響を及ぼしました。離陸に向けて滑走路を走っていたところ、機体が銃撃を受けたのです。

乗客らは機内で身をかがめるなど緊迫しましたが、乗員乗客には怪我はありませんでした。その後空港は閉鎖され、当局は住民に対して屋内に留まるよう指示を出しました。

ネット上では、「空港襲撃とか凄まじい」「ゲームの世界のようだ」「これはもう内戦の一種では?」などの意見が飛び交っています。

オビディオ・グスマン被告を拘束するのは今回が初めてではない

オビディオ・グスマン被告は2019年にも一度、今回のような激しい銃撃戦の末に拘束されています。しかし、大統領を務めるロペス・オブラドール氏の指示によって釈放されました。

釈放された理由は、麻薬組織の報復が止まなかったためです。報復の内容としては、逮捕した警官が殺害される、警備の要員を上回る人数で襲撃を受ける、などが挙げられます。こういった現状から、釈放せざるを得なかったとのことです。

今回、オビディオ・グスマン被告の拘束に至ったのは、メキシコで開催される北米首脳会議が関係しています。9日午後には、アメリカのバイデン大統領が出席し、両国大統領の首脳会談も予定されていました。メキシコの治安状況をコントロールできていることを、アメリカ側に示すために拘束を図ったとのことです。

そもそもアメリカは、オビディオ・グスマン被告に6億7,000万円の懸賞金をかけるほど、麻薬組織に強い嫌悪感を示していました。そのこともあり、メキシコの治安当局が動いたのだとされています。

なお、メキシコの麻薬組織を取材しているジャーナリストによると、「今回の拘束で、メキシコの麻薬問題や治安悪化が収まることはない。麻薬王『エル・チャポ』が率いる組織以外にも、メキシコには強力な麻薬組織がいくつも存在する」とコメントしています。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. テーマパーク運営のオリエンタルランド(OLC)が、新たな事業の柱としてクルーズ事業に参入します。同社…
  2. 医学の可能性を切り開くために命を賭けた勇気ある女性、リサ・ピサーノ氏が7日に亡くなりました。リサ・ピ…
  3. 大手のファイザーは11日、肥満症治療薬候補「ダヌグリプロン」の開発を進めると発表しました。新型コロナ…

おすすめ記事

  1. 一般社団法人Colabo代表・仁藤夢乃氏vs暇空茜

    2024-7-18

    一般社団法人Colabo代表・仁藤夢乃vs暇空茜 裁判は判決へ(2024年7月18日)

    2024年7月18日14時30分から、原告である一般社団法人Colabo代表・仁藤夢乃氏と、被告の暇…
  2. 2023-11-6

    運転免許の更新講習がオンライン化 ゴールド免許以外でも利用可能に

    北海道、千葉県、京都府、山口県の4道府県で、運転免許の更新講習が新たにオンラインで可能になった試みが…
  3. 2024-4-29

    『新潟市水族館 マリンピア日本海』の裏側に密着!災害時における安全管理の取り組みとは?

    令和6年の能登半島地震により、石川県の施設は甚大な被害を受けた。その復興の道のりのなかで、『のとじ…

【結果】コンテスト

東京報道新聞第5回ライティングコンテスト_結果発表

【終了】コンテスト

第5回ライティングコンテスト(東京報道新聞)

インタビュー

  1. 受刑者のアイドル・Paix²(ぺぺ)の北尾真奈美さんと井勝めぐみさん
    デビュー直後から精力的に矯正施設で「プリズンコンサート」を行い続けている女性デュオ・Paix²(ぺぺ…
  2. 過去に海外で行われたヨガ
    来たる6月21日に行われる「国際ヨガデー」。インドのナレンドラ・モディ首相の提案により、2014年に…
  3. ゴミ収集車の死亡事故による呼び捨てでの実名報道で訴訟を起こした品野隆史氏
    現在メディアでは、事件に関して疑いのある人の実名報道では「容疑者」を呼称でつけていますが、1989年…
ページ上部へ戻る