【医師の論文解説】帯状疱疹後神経痛 発症しやすい人の特徴

【医師の論文解説】帯状疱疹後神経痛 発症しやすい人の特徴

​「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」という病気、みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。予防接種法の改正により、2025年4月1日から、帯状疱疹ワクチンが定期接種化されたことで知った方、ご自身やご家族が辛い経験をされたこともあるかもしれません。

​帯状疱疹は、ピリピリとした痛みを伴う発疹が出る病気ですが、発疹が治った後も頑固な痛みが続いてしまうことがあります。これを「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼びます。

実は、このPHNは帯状疱疹になった人の5〜30%に発生するといわれており、世界的に見ても大きな健康課題となっているのです。

では、どのような人が「帯状疱疹後神経痛」になってしまうのでしょうか。 

​今回は最新の中国からの論文から、帯状疱疹後神経痛(PHN)になりやすい人の特徴と、私たちが知っておくべきリスク要因について、分かりやすく解説します。

高齢・重い発疹・喫煙・持病がある人は要注意

​2025年10月中国、河南省人民病院Jing Wang氏らによる免疫学に関する研究誌「Frontiers in Immunology」における論文から、帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症には、年齢だけでなく、生活習慣や元々の持病、そして初期症状の重さが深く関わっていることが分かりました。

​具体的には、60歳以上の高齢者、重度の発疹や激しい痛みがある人、喫煙者、そして糖尿病や高血圧などの持病がある人ほど、PHNを発症するリスクが高いことが分かったのです。  

​一方で、抗ウイルス薬による治療はPHNを防ぐための保護的な要因(リスクを下げる要因)になる可能性も示唆されています。

頑固な後遺症である帯状疱疹後神経痛のリスク因子を科学する

1.研究背景

帯状疱疹後神経痛(PHN)は、帯状疱疹のウイルスが再活性化し、神経が傷つくことで起こります。薬物療法や神経ブロックなどの治療法はありますが、人によっては、本当に目も当てられないほど辛い痛みです。

そこで、どのような人がPHNになりやすいのか(リスク因子)を特定し、予防につなげることが大切になってきます。

2.研究の目的

そこで、帯状疱疹のリスク因子を、​人口統計学的特徴(年齢や性別など)、臨床的特徴(症状など)、治療歴、併存疾患(持病)、ウイルス学的要因など、さまざまな角度から分析しました。

3.研究方法

今回は複数の研究をまとめた報告です。2001年1月から2024年12月までに発表された主要データベースにある研究論文から、最終的に基準を満たした36件の観察研究を統合して解析しました。  

なお、帯状疱疹と診断された18歳以上の成人で、発疹が出てから90日以上痛みが持続した場合」をPHNと定義しています。

帯状疱疹後神経痛のリスク因子を詳しく解説

以下のような人が、PHNを発症しやすいことが具体的な数値(オッズ比:OR)とともに明らかになりました(p<0.05)。

  • 年齢の影響:
    • 年齢自体がリスクであり、高くなるほど発症しやすくなります(1.16倍)。
  • 症状の重さ:
    • 発疹の範囲が広い、または症状が重い場合(1.53倍)
    • 急性期に中等度から重度の痛みがある場合(2.50倍)
    • 発疹が治った後もしつこく痛みが続く場合(2.05倍)
    • 急性の発作として発症した場合(4.21倍)
  • 生活習慣:
    • 喫煙歴がある場合(1.22倍)
    • 社会経済的地位(収入など)による影響もわずかに見られました(1.13倍)。
  • 持病(併存疾患):
    • がん(悪性腫瘍)の既往がある場合(1.99倍)
    • 高血圧がある場合(1.82倍)
    • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)がある場合(1.70倍)
    • 2型糖尿病がある場合(1.29倍)
  • 治療の影響:
    • 免疫抑制療法を受けている場合、リスクが高まる可能性があります(1.94倍)。
    • 逆に、抗ウイルス療法を受けることは、発症リスクを抑える「保護因子」として働きます(0.68倍、つまりリスクが約3割減る)。

【医師から】帯状疱疹後神経痛になるのは、たまたまではなく理由がある

以下のような人が、PHNを発症しやすいことが具体的な数値(オッズ比:OR)とともに明らかになりました(p<0.05)。

  • 年齢の影響
    • 年齢自体がリスクであり、高くなるほど発症しやすくなります(1.16倍)。
  • 症状の重さ
    • 発疹の範囲が広い、または症状が重い場合(1.53倍)
    • 急性期に中等度から重度の痛みがある場合(2.50倍)
    • 発疹が治った後もしつこく痛みが続く場合(2.05倍)
    • 急性の発作として発症した場合(4.21倍)
  • 生活習慣
    • 喫煙歴がある場合(1.22倍)
    • 社会経済的地位(収入など)による影響もわずかに見られました(1.13倍)。
  • 持病(併存疾患)
    • がん(悪性腫瘍)の既往がある場合(1.99倍)
    • 高血圧がある場合(1.82倍)
    • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)がある場合(1.70倍)
    • 2型糖尿病がある場合(1.29倍)
  • 治療の影響
    • 免疫抑制療法を受けている場合、リスクが高まる可能性があります(1.94倍)。
    • 逆に、抗ウイルス療法を受けることは、発症リスクを抑える「保護因子」として働きます(0.68倍、つまりリスクが約3割減る)。

【医師から】帯状疱疹後神経痛になるのは、たまたまではなく理由がある

この研究結果から、帯状疱疹後神経痛(PHN)は単に「運が悪かった」からなるものではありません。

特に「最初の痛みが強い方(2.5倍)」や「がんの既往がある方(約2倍)」、「高血圧の方(1.8倍)」などは、そうでない人と比べて、PHNを発症する確率が明らかに高いことがわかりますね。

​なぜこれらの要因がリスクになるのか。

​まず、 重度の発疹や急性の激しい痛みは、それだけ神経が強く傷つけられていることを意味しますので、慢性的な痛みにつながりやすいのです。

また、2型糖尿病やがん、加齢、高血圧などで動脈硬化が進んでいると、神経の修復能力が落ちてしまいます。そのため、PHNを長引かせてしまうのです。

​もし、ご自身や周りの方が帯状疱疹になった場合、特に「60歳以上の方」や「糖尿病などの持病がある方」、「最初の痛みが強い方」は、痛みを長引かせないためにも、できるだけ早く医療機関を受診し、抗ウイルス薬などの適切な治療を受けることが大切です。

​また、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する抗体価が高いことは、保護的に働く可能性があるため、予防接種(ワクチン)を検討することも有効な手段といえるでしょう。  

帯状疱疹後神経痛になると、とかく辛い日々が続きます。日頃からの対策をしっかりして、帯状疱疹にかかったとしても長引かせないような体づくりをしていきましょう。

参考文献:
Jing Wang, Rong Tao, Yinghai Jiang,et al.Risk factors for postherpetic neuralgia: a meta-analysis based on demographic, clinical features, and treatment characteristics.Frontiers in immunology. 2025;16;1667364. pii: 1667364

秋谷進医師

投稿者プロフィール

小児科医・児童精神科医・救命救急士
たちばな台クリニック小児科勤務

1992年、桐蔭学園高等学校卒業。1999年、金沢医科大学卒。
金沢医科大学研修医、国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院小児科、児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て現職。
専門は小児神経学、児童精神科学。

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