クレディ・スイスの年次報告書である「グローバル・ウェルス・ レポート 2022」によると、 世界のミリオネア(保有資産額が100万ドル以上の富豪)の数は2021年に520万人増え、世界のミリオネアの総数は6,250万人になったと予想されています。
そのうち約半数の250万人が米国移住者であり、これは今世紀のどの年・国で見ても、最大のミリオネア数の増加であると言われています。米国では2016年以降、ミリオネア数が急増しており、米国に移住するミリオネアの人種比率としては、白人が76%、アジア系が8%、黒人が8%、ヒスパニック系が7%です。
なお、ミリオネア数は中国でも100万人以上、カナダ・オーストラリア・英国を合わせると100万人増加しました。一方、日本のミリオネア数は395,000人、イタリアでは135,000人減少していますが、ほかの地域の減少幅は非常に小さく留まっています。
2000年から2021年にかけて総資産額が約5倍まで拡大
「グローバル・ウェルス・ レポート 2022」によると、富裕層における成人の総資産額は、2000年の41兆5,000億米ドルから、2021年には約5倍の221兆7,000億米ドルまで拡大したとされています。それに伴い、世界全体の富に占めるミリオネアの資産額の割合も、同時期に35%から48%へと上昇しました。
また、保有資産額5,000万ドル以上の超富裕層の増加ペースも加速しており、2021年の超富裕層の21%が新参者でした。
クレディ・スイスのレポートによると、2021年末に世界の富の保有者の上位半分に入るためには、純資産が8,360米ドル必要であると示されています。しかし、上位10%入りに必要な純資産は138,346米ドル、上位1%に入るには1,146,685米ドルが必要です。
一方、2020年の最低資産要件は1,073,686米ドルであったため、エリート集団に入るためのハードルは年々上昇していると言えます。なお、世界の上位1%のメンバーは、2020年の当時同様、全員が米ドル建てのミリオネアです。
新型コロナウイルスの世界的な流行は、富の不平等の拡大につながったと言われています。収入が平均以下の層については、女性や若年層、マイノリティーなどのグループが感染症の影響を受けたとされていますが、明確な調査データが算出されるまでには時間がかかります。今後もクレディ・スイスの調査に注目したいところです。