
日本の気候変動対策は不十分であり、国民の基本的人権を侵害しているとして、市民や専門家ら452人が18日、国を相手取り1人あたり1,000円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。気候変動をテーマに国の政策そのものを問う国家賠償請求訴訟は、日本で初めての試みとなる 。
<目次>
訴訟の概要:不十分な行政計画と「法律の欠如」を指摘

原告弁護団代表の島昭宏弁護士は会見で、日本の削減目標(NDC)や温対計画がパリ協定の「1.5度目標」に照らして極めて不十分であると指摘した。特に大きな争点となるのが、CO2排出に対する法的拘束力のある規制が一切存在しない「立法不作為」だ 。
島昭宏弁護士は「法的拘束力のある法律がないため、海外では全廃が進む石炭火力発電所が日本では今も新設されている。これは人権侵害を放置している状態であり、明白な違憲だ」と主張。賠償額を1,000円という象徴的な数字に留めた理由については、「損害額を争うのではなく、国の政策が違法であるという司法判断を引き出し、政策転換を促すことが目的だ」と説明した。
原告の訴え:現場で、生活で現に起きている「権利侵害」

原告には、研究者や建設労働者、主婦など多様な市民が名を連ねている。呼びかけ人の一人である東京大学の斎藤幸平准教授は、自身の子供の未来に触れ、「殺人的な暑さの中で、子供が外で安心して遊べない。未来の世代に甚大な被害を残さないために、脱炭素に向けた具体的な規制を作っていきたい」と訴えた 。

また、建設現場で働く秋山喜一さんは、猛暑による労働環境の悪化を報告。「8月や9月の現場では、暑さのせいで見積もりの3〜4倍の手間がかかり、働く仲間が倒れる事態も起きている。暑さ対策のコストも個人負担だ」と、気候変動が労働者の安全と経済を直撃している実態を語った 。
今後の動き:社会的「うねり」の創出へ

訴訟名に冠された「気候正義(クライメート・ジャスティス)」には、原因を作った先進国や現世代の責任を問い、脆弱な地域や将来世代との不平等を是正するという強い意志が込められている 。
弁護団は、2026年2月を目処にさらなる原告を募り、第二次提訴を行う方針だ。「国民の関心が高まらなければ政治も動かない。この裁判を通じて、多くの人が当事者として参加する『うねり』を作りたい」と展望を述べた 。
国際司法裁判所(ICJ)が今年7月に「国には気候変動対策を講じる義務がある」との勧告的意見を出すなど、世界的に司法が気候対策を後押しする流れがある。今回の訴訟が、停滞する日本の気候政策を動かす「一石」となるか、今後の審理が注目される 。








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