半導体大手NVIDIAが、18日に時価総額で世界首位に躍り出ました。Microsoftを抜き、時価総額は約3兆3,350億ドル(約526兆円)という驚異的な数字を記録しています。
この急成長の背景には、生成AI(人工知能)ブームがあります。NVIDIAは、ChatGPTなどの生成AIの「頭脳」となる半導体で圧倒的なシェアを誇っています。データセンター向けAI半導体市場では、2023年に8割のシェアを握りました。
NVIDIAのジェンスン・ファンCEOは、このAIブームを「新産業革命」と呼び、ネットサービス全体に変革をもたらすと予測しています。実際、生成AIの登場により、検索やSNSといった従来のネットサービスの形が大きく変わる可能性が出てきました。
かつて「GAFA」と呼ばれたGoogle(現Alphabet)、Apple、Facebook(現Meta)、Amazonが主導してきたスマートフォン革命の時代が終わり、新たなAI時代の幕開けを感じさせます。
直近の時価総額ランキングでは、AI戦略で先行するNVIDIAとMicrosoftが上位を占め、AppleやAlphabetを抜き去りました。テクノロジー業界の主役交代が、ここにきて鮮明になってきたといえるでしょう。
NVIDIAの成功の鍵とは?「CUDA」でも存在感を示す
NVIDIAが半導体業界の革命児として躍進を続けています。1993年に台湾出身のジェンスン・ファン氏らが設立した同社は、ゲーム用GPUの開発から始まり、今やAI時代の主役となりました。
NVIDIAの成功の鍵は、GPUのAI応用にあります。複数のデータを同時処理できるGPUの特性が、AI性能を飛躍的に向上させたのです。生産は台湾積体電路製造(TSMC)に委託し、自社は設計に特化する戦略も功を奏しています。
さらに、NVIDIAは「CUDA(クーダ)」というソフトウェアでも存在感を示しています。CUDAは多くの生成AI開発の基盤となっており、いわばAI時代の「Windows」ともいえるでしょう。
高いシェアを背景に価格決定力を持つNVIDIAの粗利益率は約8割に達しています。しかし、この急成長は規制当局の目を引きつけており、米司法省が独占禁止法(反トラスト法)違反の調査準備を始めたとも報じられています。
米国のアナリストは、NVIDIAがAppleやMicrosoftと競い合い、近い将来時価総額4兆ドルを目指すと予測しました。AI革命の先導者として、NVIDIAがどのようにこの課題を乗り越えるか、業界の注目が集まっています。