三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、2024年3月期第2四半期(2023年7〜9月)の連結実績を発表しました。この結果、「高感度上質戦略」などの効果が表れ、上期累計の総額売上高は前期と比べて13.3%増え、5,614億円まで伸長しました。
販売管理費は前期とほとんど変わらない1,276億円に抑え、営業利益および経常利益が前期から倍増し、統合後の最高益を更新しました。また、8月に続いて2度目となる通期業績予想の上方修正も行います。
第2四半期の総額売上高は前年同期比11.5%増の2,485億1,800万円で、百貨店業は第1四半期に続いて最高売上を更新しました。営業利益は前年同期比2倍以上の201億9,000万円に達し、親会社株主に帰属する四半期純利益は同91.3%増の148億6,500万円となりました。伊勢丹新宿店は上期累計で過去最高売上を達成しました。
三越伊勢丹HDの細谷敏幸代表執行役社長兼CEOは、今回の好調な結果について「三越伊勢丹グループの百貨店でしか買えない特別な商品を集めることを目指してやってきたことがお客様を集めることに繋がった」と分析した上で、「集めたお客様にアプリをインストールしてもらい、バイヤーがお客様の求める商品を仕入れるといったサイクルが確立しつつあることが好調の要因だ」と説明しました。
三越伊勢丹HDの業績好調はインバウンドの回復が影響か
三越伊勢丹HDの業績が好調であることには、インバウンド(訪日外国人)の回復が大きな要因として挙げられます。上期のインバウンド売上は424億円に達し、前年比で279%増、2018年比では15%増を記録しました。通期では、コロナ前の水準を2割以上上回る914億円の売上が見込まれています。
この好調な状況を受けて、同社は今期の通期業績予想を上方修正しました。総額売上高は1兆2,000億円(450億円増)、営業利益は480億円(100億円増)に修正しています。また、従業員の賃上げの実施も検討されています。
「カード・金融商品」領域では、無料のエムアイカードの導入を2024年度以降に計画しています。これまで有料プランのみだったエムアイカードにエントリーカードを追加することで、会員数の拡大を目指します。
下期においては、外商事業にさらなる強化を図り、売上の拡大を目指しています。全国的に高感度な外商商品を展開する計画です。牧野欣功取締役執行役常務CSDO兼CFOは、「百貨店内店舗のサポートに回っていた人材を外商部隊に回すことで、外商領域の業績を伸ばしていきたい」とコメントしました。三越伊勢丹HDのさらなる成長が期待されています。