日本政府、核融合発電の実証開始時期を大幅に調整 目標は2030年代

政府は核融合発電の実用化に向けて大きく舵を切りました。核融合発電の実証開始時期を2030年代に早めるため、技術開発と人材育成を支援する新法の策定に乗り出したのです。

核融合発電は、太陽の内部で起こる反応を地上で再現する革新的な技術です。二酸化炭素を排出せず、わずか1グラムの燃料から石油約8トン分のエネルギーを生み出せるとされています。

これまで日本の目標設定は「50年ごろ」の発電実現を目指すなど、諸外国に後れを取っていました。しかし今回の方針転換で巻き返しを図ります。アメリカや中国が2030年代、英国が2040年までの実証を目指す中、日本も早期実現に向けて動き出します。

今後発表されるであろう骨太の方針には、新法の策定と実証開始時期が明記される見通しです。さらに、現行の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)法の改正も視野に入れており、支援対象に核融合発電を加える可能性があります。

政府は国主導で民間企業と連携し、実証環境の整備を進めます。文部科学省を中心に開発を進めていますが、今後は関係省庁が横断的に支援できる体制を整える予定です。

脱炭素社会の実現に向けた切り札として、核融合発電の開発が加速することが期待されます。「できるだけ早く明確化する」とされていた発電実証の時期が、具体的な目標として示されることで、日本の技術力が世界に示される好機となるでしょう。

原子力政策に革命をもたらす可能性 暴走事故のリスク軽減

核融合発電の実現は、原子力政策に革命をもたらす可能性を秘めています。従来の原子力発電と比べ、核融合は暴走事故のリスクが低く、高レベル放射性廃棄物も出ないとされています。

現在、多くの原発が再稼働できていない背景には、安全性の担保や核のごみ処理など、さまざまな課題があります。核融合技術は、これらの問題を一気に解決する可能性を秘めているのです。

しかし、核融合の商用化までの道のりは長く、パリ協定の温暖化ガス削減目標達成には間に合わないとの見方が強いほか、実用化段階では再生可能エネルギーや、既存の原子力発電とのコスト競争も予想されます。

核融合には新しい高機能素材を含む大型装置が必要となる可能性があり、低コスト化は将来的な課題となっています。

現在、最大規模の核融合プロジェクトは、7極が参加する国際熱核融合実験炉(ITER)です。フランスで建設中ですが、稼働時期は当初の2025年から数年遅れる見通しです。

核融合技術の実現には、時間とコストの壁を乗り越える必要があります。今後の技術革新と国際協力の進展が、核融合発電の未来を左右するでしょう。

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