NASAの探査機「Voyager 1」、全ての科学機器からのデータ送信を再開
米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)は、NASAの探査機「Voyager 1」の全ての科学機器からのデータ送信が再開されたと発表しました。
1977年9月に打ち上げられた「Voyager 1」は、2023年11月に搭載コンピューターに不具合が生じ、データ送信が困難になっていました。2024年4月には一部のデータ送信が再開されましたが、同年5月の段階では、2つの科学機器からしかデータを送信できませんでした。
しかし、懸命な努力の末、全ての科学機器からのデータ送信が再開されました。地球から240億km以上離れた宇宙空間で、「Voyager 1」は46年以上も任務を続けています。その復活は、宇宙開発技術の粋を集めた成果といえるでしょう。
運用チームは今後、探査機の状態をさらに最適化するため、ソフトウェアの再同期やメンテナンス作業を予定しています。「Voyager 1」とその双子船「Voyager 2」は、NASAの探査機の中で最も長く、最も遠くまで飛行しています。木星や土星を通過し、「Voyager 2」に至っては天王星と海王星も観測しました。
ネット上では、「様々な苦難があったと思いますが、それを乗り越えた設計者や技術者、運用担当者に感服します」「よくもまぁ、これだけの距離から復旧作業が出来るな」「いつまでも人類の夢を運び続けてほしい」などの意見が寄せられています。
「Voyager 1」のデータ送信停止、FDSチップの故障が主な原因
「Voyager 1」は2023年11月14日、読み取り可能な科学・工学データの送信を停止しました。問題の主な原因は、フライト・データ・サブシステム(FDS)チップの故障だとされています。
チップの修理が不可能なため、エンジニアリングチームは巧妙な解決策を編み出しました。影響を受けたコードを分割し、FDSメモリの別の場所に再配置するという方法です。
2024年4月18日に新コードを送信し、電波到着までの約22時間半、そして地球に電波が戻ってくるまでの約22時間半後の4月20日、探査機からの応答で成功を確認しました。5ヶ月ぶりに探査機の健康状態を確認できたとのことです。
ボイジャー計画は46年以上の歴史を持ちます。この復活劇は、人類の技術力と探査精神の象徴として、歴史に新たな1ページを刻みました。