スタートアップ企業がAIを使って新薬を開発 人間が対象の治験段階
ニューヨークと香港を拠点に活動するスタートアップ、インシリコ・メディシンがAIによる新薬開発を実用化に移しました。その一環として、AIが発見しデザインした薬の第2相臨床試験が米国と中国で始まっています。
注目すべきは、この試験対象となっているのは、肺の難病「特発性肺線維症(IPF)」という未だ効果的な治療薬が見つかっていない疾患です。インシリコは40の施設で、60人を対象に試験を展開します。
彼らはAIを用いて膨大な医療データを解析した結果、IPFの発症や進行に深く関わる特定のたんぱく質を見つけ、その働きを抑える物質を治療薬候補として選出しました。
インシリコの功績はこれだけに留まりません。彼らは2021年以降、肝臓がんや乳がんなど12種類もの新薬候補をAIを使った同様の手法で発見し、既に3つは人間を対象とする治験段階に至っています。
また、AIの活用は創薬分野に留まらず、各種スタートアップへの投資も加速しています。インシリコは、中国複合企業の復星国際や米投資会社のウォーバーグ・ピンカスから出資を受けており、最近では2022年6月に6,000万ドル(約90億円)を調達したとのことです。
また、製薬大手の仏サノフィや米ジョンソン・エンド・ジョンソンとは、インシリコの技術をライセンス供与する形で協力関係を築いており、大手とスタートアップ間の協業も盛んになっています。
この1件に対してネット上では、「なんか怖い」「本当に大丈夫?」といった不安を訴える声があがっています。
AI開発が世界的に加速|ソフトバンクは200億円投資の方針
AIを使った開発、およびAI自体の開発が世界的に加速しています。それは創薬分野だけでなく、幅広いビジネスで活用されています。
つい最近だと、ソフトバンクが独自の生成AIを開発するため、約200億円でスーパーコンピューターを整備する計画を発表しました。自動で文章を作るAIの開発を進める方針で、本格的な活用に向けた新会社を2023年3月に設立しています。
今年度中に整備予定のスーパーコンピューターは、国内トップクラスの計算処理能力を有しているとされ、AI向けの高性能半導体を手掛ける米国のエヌビディアと提携し、スーパーコンピューターの採用を検討しています。
日本でもAIの開発競争が続き、LINEやIT大手のサイバーエージェントも開発に乗り出しました。今後のAI開発の進行・終着点に注目が集まります。