米国の製薬業界で、新たな肥満症治療薬を巡る競争が激化しています。大手のファイザーは11日、肥満症治療薬候補「ダヌグリプロン」の開発を進めると発表しました。
新型コロナウイルス関連商品の売上低下に悩むファイザーにとって、大きな収益が見込める治療薬の開発は急務となっています。このダヌグリプロンは1日1回の服用で済む利便性の高さが特長ですが、副作用への懸念も指摘されています。
以前、1日2回を摂取する臨床試験を行いましたが、吐き気などの副作用が見られたため治験を中止しています。JPモルガン・チェースのクリス・ショット氏は、「発表資料で明らかにされなかったため、忍容性を巡る疑問は残る」と慎重な見方を示しました。
現在、肥満症薬市場では注射薬が主流ですが、ファイザーの参入によって経口薬への注目が高まるかもしれません。ライバルのイーライ・リリーも独自の経口薬を開発中で、2025年にも治験データの発表を予定しているとのことです。
肥満症は世界的な健康問題となっており、画期的な治療薬の登場が待ち望まれています。ファイザーの新薬開発の行方は業界のみならず、多くの患者の希望に繋がると期待されています。
ネット上では、「早く良い薬を開発してほしい」「適切な食事摂取量と運動による努力をするべき」「既に販売されている経口薬よりも副作用が多いとなると、本当に売れるのか?」などの意見が寄せられています。
肥満症治療薬の偽造品が世界的に増加 WHOが警告
世界保健機関(WHO)は6月20日、減量薬として注目を集めているセマグルチド系医薬品の偽造品が世界的に増加していると警告しました。美容目的での不正な入手を試みる人が増えているとのことです。
セマグルチドは、デンマークの製薬大手ノボノルディスクが製造する肥満症薬「ウゴービ」と糖尿病治療薬「オゼンピック」の有効成分であり、本来は医療関係者の処方が必要です。
2022年以降、偽造薬の報告が全ての地理的地域で増加しています。2023年10月から12月にかけて、ブラジル、英国、米国で発見された製品を調査したところ、偽造品であることが確認されました。
WHOは偽造薬の使用による健康へのリスクを指摘し、疑わしい場合は使用を中止して当局に報告するよう呼びかけています。イーライ・リリーも同日、自社の肥満症薬「ゼプバウンド」の模造品や偽造品の急増に対する懸念を表明しています。
オンラインやソーシャルメディアで宣伝・販売されている偽造薬は、有効成分の種類や用量が不適切で、深刻な健康被害に繋がる可能性があると指摘しています。