超加工食品と健康リスク 今日から始める賢い食品の選び方

超加工食品と健康リスク 今日から始める賢い食品の選び方|ライター:秋谷進(たちばな台クリニック小児科)

「超加工食品」という言葉を知っていますか?
カップ麺・スナック菓子・菓子パン・清涼飲料水など、私たちの食生活に深く浸透している身近な食品が、実は超加工食品に当たります。

この記事では、超加工食品が健康に与える影響と、今日からできる上手な付き合い方を分かりやすく解説します。ぜひ毎日の食事を見直すきっかけにしてみてください。

超加工食品とは?

イラスト:超加工食品と健康リスク 筆者作成
イラスト:超加工食品と健康リスク 筆者作成

「超加工食品」とは、食品を加工の程度によって4つのグループに分ける「NOVA(ノバ)分類」という考え方において、最も加工度が高い『グループ4』に分類される食品のことです。

このNOVA分類は、2009年にブラジルのサンパウロ大学の研究者らによって提唱されたもので、食品がどのような目的で、どの程度加工されているかに着目して分類します。
具体的には下表のように4つに分けられます。

【食品のNOVA分類】

表:食品のNOVA分類 参考文献より筆者作成
表:食品のNOVA分類 参考文献より筆者作成

このうち、グループ4に分類される超加工食品は、工業的な製法で作られ、家庭の調理では使わないような糖類、塩分、脂肪、あるいは保存料、着色料、香料といった多くの添加物が含まれているのが特徴です。

安価で保存性が高く、手軽でおいしいという利便性がある一方で、カロリーは高いものの、ビタミンやミネラル、食物繊維といった体に必要な栄養素が少ないなど、栄養バランスの偏りが指摘されています。実際に、超加工食品の摂取量を制限することが、肥満の予防や治療において効果的な戦略となる可能性がある、とも報告されています。

最新研究が示す超加工食品と健康リスク

近年、超加工食品が心身に与える影響について、科学的な証拠が次々と報告されています。

多くの研究をまとめて分析した信頼性の高いアンブレラレビューによると、超加工食品の摂取は、心血管疾患による死亡や2型糖尿病、不安障害といったリスクと強い関連があることが示されました。
また、別のデータ分析でも、超加工食品の摂取量が多いほど、軽度のうつ病など精神的に不調をきたしやすいことが分かっています。

2025年6月には、ワシントン大学により、特定の超加工食品による健康リスクがより詳細に報告されました。この研究では、ハムやソーセージなどの加工肉はわずかな量を日常的に食べるだけでも、2型糖尿病のリスクが11%以上、大腸がんのリスクが7%以上高まる可能性があると報告しています。
また、砂糖入り飲料は 1日あたり250g(小さめのペットボトル半分程度)の日常的な摂取で、2型糖尿病のリスクが約20%増加する可能性があります。さらにマーガリンやショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸については、日常的に総摂取エネルギーのわずか0.25〜2.56%を占めるだけで、心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクが3%以上高まる可能性があるとの指摘でした。

超加工食品と日本人の食生活

海外での研究が注目されがちですが、日本国内の調査でも超加工食品と健康の関連が明らかになりつつあります。

日本で行われた調査では、超加工食品からの摂取エネルギーが多いほど食事全体の栄養的な質が低くなることや、BMI(肥満度を示す体格指数)が有意に高くなることが報告されています。日本の食生活における研究はまだ始まったばかりですが、健康を考える上で重要な課題であることは間違いありません。

今後は、日本の伝統的な食品をどのように分類するかなど、私たちの食文化に合わせた研究がさらに進むことが期待されています。

今日からできる超加工食品との賢い付き合い方

超加工食品を食生活から完全に無くすのは難しいかもしれません。大切なのは、完璧を目指すのではなく、無理なく「減らす」「置き換える」を意識することです。

①食品表示を見る習慣をつける

食品の原材料は、使われている重量の割合が高いものから順に記載されています。パッケージの裏側を見る習慣をつけましょう。砂糖類(砂糖、異性化液糖など)や植物油脂、その他多くの添加物が原材料名の上位に書かれている場合は、少し注意してみると良いかもしれません。

②賢く置き換える

いつもの食事や間食を、少しだけ加工度の低いものに置き換えてみましょう。

例えば、間食をスナック菓子からナッツや果物、ヨーグルトに、飲み物を甘いジュースから水やお茶に、朝食の菓子パンをご飯と味噌汁、または全粒粉パンと卵に変えるなど、小さな工夫でも大きな一歩です。

③自炊の頻度を増やす

野菜やお肉、魚といった加工度が低い食材(グループ1)を中心に調理すれば、自然と超加工食品の摂取を減らせます。忙しい方は、週末に常備菜を作り置きするなど、できる範囲で自炊の機会を増やしてみてはいかがでしょうか。

正しい知識で、より良い食生活を目指しましょう

超加工食品は私たちの生活に深く根付いており、完全に無くすことは現実的ではないかもしれません。しかし、食品の選び方を少し意識するだけで、食生活はより良いものへと大きく改善できます。

食生活について気になることや、お悩みの点がございましたら、いつでも当院スタッフにご相談ください。正しい知識を身につけ、自分に合った健康的な食生活を一緒に目指しましょう。

■参考文献:
1.The UN Decade of Nutrition, the NOVA food classification and the trouble with ultra-processing

2.Ultra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake and Weight Gain: An Inpatient Randomized Controlled Trial of Ad Libitum Food Intake

3.Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses

4.Cross-sectional Examination of Ultra-processed Food Consumption and Adverse Mental Health Symptoms

5.Health effects associated with consumption of processed meat, sugar-sweetened beverages and trans fatty acids: a Burden of Proof study.

6.厚生労働省. 加工食品の摂取状況を把握するための全国食事調査のデータ解析. 厚生労働科学研究費補助金 (食品の安全確保推進研究事業) 分担報告書 (令和2年度)

7.東京都保健医療局.食衛生の窓「一般加工食品(原材料名)」

秋谷進医師

投稿者プロフィール

小児科医・児童精神科医・救命救急士
たちばな台クリニック小児科勤務

1992年、桐蔭学園高等学校卒業。1999年、金沢医科大学卒。
金沢医科大学研修医、国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院小児科、児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て現職。
専門は小児神経学、児童精神科学。

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