ブラジル最高裁がXのサービス停止を命令 イーロン・マスク氏は徹底拒否
ブラジル連邦最高裁判所は8月30日、米国のSNS「X(旧Twitter)」に対し、ブラジル国内でのサービス停止を命じました。この措置は、最高裁が以前に命令した一部利用者のアカウント凍結に応じなかったためです。
Xのオーナーであるイーロン・マスク氏は「検閲だ」と拒否し、異例の事態に発展しています。イーロン・マスク氏は最高裁の決定後、Xに相次いで関連内容を投稿。「言論の自由は民主主義の根幹だ。選ばれていない偽の裁判官が政治目的で破壊しつつある」と批判しました。
最高裁は、2022年の大統領選に関連した捜査で、Xに偽情報を流した利用者のアカウント凍結を命令していました。Xが命令を拒否したため、8月に法定代理人逮捕の通告を受け、ブラジル事業の閉鎖を発表しました。
モラエス最高裁判事は30日、Xに対して命令順守と罰金支払いまでの「即時かつ全面的な停止」を命じました。累計罰金は1,800万レアル(約4億7,000万円)を超えています。
当初、モラエス最高裁判事は米AppleとGoogleに、Xのアプリ利用を禁止する措置を講じるよう命令しましたが、その後、混乱を避けるため停止しました。
ネット上では、「虚偽の発信に対してまで『言論の自由』で保護するのは違うと思う」「そろそろ日本もこういうSNSに関する法整備をきちんとして欲しいですね」「どちらに正当性があるかよく分かりませんが日本のSNSでは詐欺行為が大きな問題であると思います」などの意見が寄せられています。
31日朝には接続できない利用者が続出 スターリンクの銀行口座は凍結
ブラジルの電気通信当局トップは、Xのサービス停止命令について、法令順守に則って進めていると述べました。31日朝には、利用者から接続できないという報告が相次ぎました。
モラエス最高裁判事は、AppleやGoogleなどの企業に対し、5日以内にアプリ削除やiOS・Androidでの利用ブロックを命じています。また、VPN経由でのアクセスには罰金を科す可能性もあります。
Xは裁判所の要求に応じない姿勢を示しており、イーロン・マスク氏の宇宙事業会社スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」の銀行口座も凍結されました。スターリンクは、Xへの罰金をスターリンクに負わせるのは根拠がないと主張しています。
モラエス最高裁判事は2023年の大統領府襲撃事件でも、ボルソナロ前大統領らをクーデター未遂の疑いで捜査しています。ブラジル当局からの圧力は、Xだけでなく、テレグラムやワッツアップなど他のメッセージアプリも受けてきました。今回の措置がどこまで影響を及ぼすのか、注目が集まっています。