株式報酬SaaS企業のNstock(エヌストック)が、総額30億円の資金調達に成功しました。2025年には、非上場株式の売買を仲介するプラットフォームの事業化を目指すとのことです。
Nstockは2022年、人事労務SaaS大手のSmartHRの完全子会社として誕生しました。ストックオプション(SO)の管理を効率化するサービスを展開する一方、非上場株式の流通市場(セカンダリー市場)のニーズを探ってきました。
今回の増資には、WiLやCoralCapitalなど大手投資家が名を連ねます。調達資金は主に、プラットフォーム開発と金融商品取引法関連の業登録に充てられる予定です。
国内では2024年5月、改正金融商品取引法の成立により非上場株式の流通規制が緩和されました。取引所を介さない株売買を可能にする「私設取引システム(PTS)」の開設要件も緩和される見込みで、新規参入の障壁が下がりつつあります。
実際、株主総会支援のスマートラウンドも参入を表明。9月4日には、みずほフィナンシャルグループなど大手金融機関との資本提携を発表し、セカンダリー事業での協業を模索しています。
Nstockは、スタートアップ企業自らが取引条件を選べる「社内取引所」コンセプトのプラットフォームを構想する方針です。宮田昇始代表は、「日本からユニコーン、デカコーン企業を輩出する上で、(セカンダリー市場の不在は)ボトルネックの1つになっている。スタートアップ・エコシステムの土台づくりをしていきたい」と意気込みを語りました。
宮田昇始氏とは?2013年にKUFU社(SmartHR)を設立
人事労務ソフトを手がけるユニコーン企業・SmartHRの創業者である宮田昇始(みやたしょうじ)氏は、2022年1月に同社の100%子会社として、株式報酬に特化したSaaS・フィンテック企業「Nstock」を立ち上げました。
Slackの投稿から4ヶ月でのスピード起業を実現した宮田昇始氏は、2013年にSmartHRの前身となるKUFU社を創業。2015年に人事労務クラウド「SmartHR」をリリースし、2021年には海外投資家などから156億円を調達してユニコーン入りを果たしました。
2022年にSmartHRの代表取締役CEOを退任し、取締役ファウンダーに就任しています。同年、今回30億円を調達したNstock社を設立しました。
宮田昇始氏は、Forbes JAPANの「日本の起業家ランキング2022」で1位を獲得するほか、TechCrunch Tokyo 2015「スタートアップバトル」優勝、B Dash Camp 2016 Spring「ピッチアリーナ」優勝など、数々の受賞歴を誇ります。
新たな挑戦となるNstockで、宮田昇始氏がどのような革新を起こすのか、今後の動向に注目が集まります。