2024年7月11日、足立区立伊興中学校で特別な取り組みが行われました。
この日、同中学校の2年生180人と、職業講師9名が校内に集結。
講師ごとにクラスを分け、生徒たちが未来に向けた職業の選択肢を広げるための授業を、30分1コマとして、3コマ実施しました。
職業講師は左から、外資IT企業営業職(冨田賢)・デザイナー(吉澤愛実)・アプリケーションエンジニア(江口雅人)・作曲家(宮野弦士)・電車運転士(宇田川裕史)・介護講師(橋本徳子)・映像制作プロデューサー(岩根央)・絵本作家兼イラストレーター(ねもとまこ)・一級建築士(井上明日香)です。
「子供たちの未来」をテーマに、2ヶ月掛かりで実現された取り組みをレポートしました。
足立区立伊興中学校の職業講話イベント
足立区立伊興中学校では、中学2年生を対象に「職業講話イベント」を進めてきました。この学習は、将来に対して広い視野を持ってほしいことと、興味の有無に関わらず色々な仕事をしている大人の話を聞くことによって、社会にはさまざまな人が働くことで成り立つことを知ってもらいたいという考えからはじまりました。
目的は、生徒たちが将来の選択肢を広げ、自分の人生設計について考える機会を提供することです。生徒たちは3時限にわたって、自分で選択した職業講師の授業に参加し、大人との対話を通してさまざまなことを学んでいました。
職業講話は、将来の選択肢を広げることを目的としています。
私が担当した映像プロデューサーのクラスにおいては、まず仕事をすることになったきっかけを話しました。元々音楽をしていたこともあって、そのイメージを映像にも載せたくなったこと、その後の仕事のひとつとして自主映画を制作したこと、そして、制作した作品が官公庁の後援をいただいたことなどです。生徒たちが真剣に話を聞いている様子から、自分の未来に希望を持つことができたのではないかと思います。
さらに、「挑戦の正体」や「今のうちから、人に親切にすることが自分に返ってくる」という人生についての為になる話をしたところ、生徒たちはもちろんのこと、教員の方もかなり真剣に聞いていて、授業が終わっても話が尽きませんでした。
絵本作家のねもとまこさんのクラスでは、ねもとさんが自身の生い立ちについて話した後に「言霊の大切さ」を話したところ、生徒たちだけでなく教員も興味深く聞いていた様子でした。
<生徒たちの感想>
ねもとまこさんの講話を聞いた生徒たちからは、「絵本のキャラクターがとてもかわいい」「一瞬で好きになりました!」などの感想がありました。そのなかで、「ネガティブな言葉でなく、ポジティブな言葉を遣うように心掛けたい」という声もあがりました。その場の雰囲気が、生徒たちにとっても癒しの空間になったのかもしれません。
また、「さまざまなことにチャレンジしたい」「好きなことを仕事にできるようにたくさん勉強しようと思う」等の前向きな姿勢も見受けられました。
<講師の感想>
自分の職業に関する話以外にも、『言葉が人生を変える』お話をさせていただくと同時に「どうせ無理、できない」ではなく「できる」と、まずは言葉にしてみることが大切です。また、学生さんにお伝えすることで、自分自身の学びにも繋がりました。どんなときも可能性を信じて夢を叶えていってほしいと思います。(ねもとまこ)
介護の話を聞きに来てくださる生徒さんがどれくらいいらっしゃるのか、不安を感じていました。しかし、何人もの生徒さんが来てくださり、真剣に話を聞き、質問をしてきて、業界として大変嬉しく思いました。中学2年生という大切な時期に、将来の道を広い視点で捉えるきっかけになるような取り組みだと感じました。(介護講師 橋本徳子)
<教員の感想>
私たち教員は大学の頃から教育のことを学んで、その後学校の世界に入っているので、世の中でどんな人がどんな思いで働いているのか、教えることは難しいです。今回、職業講師の方たちに来ていただいて、働くということはお金だけじゃなく、喜びがあったり、大変なこともあったり、人との繋がりがあったり、いろいろな側面があることを生徒は学べたと思います。生徒たちが普段接することがない職業の方々に来ていただけたことも、視野を広げるひとつになったと思います。
職業講話では、中学2年生の生徒に対して「実社会への興味・関心を持つきっかけづくり」の重要性を唱えていて、今回の取り組みは、生徒たちが一歩を踏み出せるような選択の一助となったことでしょう。
生徒たちが将来の仕事に希望を持てるきっかけを
職業講話では、中学2年生の生徒に対して「実社会への興味・関心を持つきっかけづくり」の重要性を唱えています。今回、足立区立伊興中学校で開催された取り組みは、生徒たちにとって未来の仕事を描ける貴重な経験となりました。職業講師との対話を通じて、生徒たちは自分の仕事への取り組みを学び、具体的にイメージする機会を得ることができ、将来に向けての希望が膨らんだことでしょう。
この取り組みは、さまざまな教育現場において大きな影響を与えることが期待されます。今回のような取り組みを通じて、生徒たちが明るい学校生活を送り、仕事への楽しみを持って、人生を歩んでいけるような機会が増えていくことを願っています。
取材:岩根 央