警視庁は4月17日、新社会人に向けて投資詐欺への注意喚起を行いました。近年、著名人をかたる偽広告などを使って架空の投資話でだます「SNS型投資詐欺」が増加しており、特にビジネスパーソンが狙われる傾向が強まっています。
警察庁の分析によると、被害者の半数が40〜50代で、1件あたり1億円を超える事例も目立っています。警視庁は新社会人向けの出前講座を通じて、SNS型投資詐欺への警戒を呼びかけました。
4月中旬には、キヤノンマーケティングジャパンの新入社員約180人を対象に講話を行い、「お金を増やしたいという願望につけこむ。親族や親友の紹介でも怪しいと思ったらはっきりと断ってほしい」と警告しています。
また、警視庁生活経済課の半田正浩課長は「まずは投資に関する知識を持つことが大事。警察は常に窓口を開いているので積極的に相談してほしい」と強調しました。2023年に全国の警察が認知したSNS型投資詐欺の被害は2,271件に上り、被害総額は約277億9,000万円に達しています。
この詐欺の特徴は中高年層の被害が多い点で、高齢者が狙われる特殊詐欺とは異なり、中高年層が多く被害に遭う傾向があります。30代以下の被害者も16.9%と一定数います。
詐欺を見破る3つのポイント 警察庁が公表
捜査関係者は、SNSを使った投資詐欺について「資産形成を念頭に置く40代以上のビジネスパーソンが特に標的とされやすい」と説明しています。この詐欺は、新NISAを始めたばかりの投資経験の少ない人々をSNSで誘い込み、信頼関係を築いて詐欺を行う手口です。
捜査関係者は「一度信用してしまうと、長期間にわたって何度も金をだまし取られる傾向がある」と指摘しています。警察庁は詐欺を見破る方法として、以下のポイントを挙げています。
- グループチャットなどに招待される
- 投資アプリのインストールをすすめられる
- 稼いだお金を引き出すのに事前に説明がない手数料などを要求される
詐欺グループは、「必ずもうかる」「絶対に値上がりする」などの文言で投資への関心を煽るとのことです。金融庁は「慎重かつ冷静に判断してほしい」と呼びかけています。
警察庁は3月、SNS型投資詐欺摘発のため、全国の警察に捜査体制の強化を指示しました。しかし、非対面型の詐欺であるため犯罪組織の解明は困難とされています。
投資詐欺の特徴として、不自然な日本語を使用する投稿が多いことから、海外組織の関与も疑われています。捜査関係者は「海外のサーバーを経由している場合、投稿の発信元をたどるのは容易ではない」と現状について語っています。