トルコの首都アンカラで4日に行われた黒海経済協力機構(BSEC)会合の会場にて、ロシアの外交官とウクライナの外交官がもみ合いになりました。ことの発端は、ウクライナの外交官がウクライナ国旗を取材最中に掲げたことです。
ロシア代表のオルガ・ティモフェーワ氏が取材を受けている最中、ウクライナの国会議員であるオレクサンドル・マリコフスキ氏がカメラに映るように、背後でウクライナ国旗を掲げ始めました。
それを見たロシア代表団長のワレリー・スタヴィツキー氏がその国旗を取り上げ、その場を去りました。すると国旗を掲げていたオレクサンドル・マリコフスキ氏が追いかけ、国旗を取り戻そうとロシア代表団長を殴り、その場は混乱状態に。
周囲にいた人たちが間に入り、「争わないでください」とその場を収めました。BBC NEWS JAPANで公開された動画では、終始オレクサンドル・マリコフスキ氏が反抗する姿が映されています。
この1件を知った人たちはネット上で、「この事案はまさにウクライナ戦争の縮図だ」「オリンピックでも同じことが起きてもおかしくない」「両者の争いは本当にいい加減にしてほしい」などの意見を寄せています。
そもそも黒海経済協力機構(BSEC)とは?
黒海経済協力機構の正式名称は、「Organization of the Black Sea Economic Cooperation」です。単語の頭文字を取って「BSEC」と略されています。
このBSECは1992年、トルコの主導により、黒海沿岸及びその近隣の11ヶ国により発足されました。主な活動目的は、域内ビジネス環境の改善、起業イニシャティブの促進、協調による域内経済効率化の3つです。
加盟国間及び第三国機関で対話を行い、目標達成を目指します。現在の加盟国は、ロシアとウクライナを含めた、アルバニア、ブルガリア、ジョージア、ギリシャなどの全13ヶ国。活動分野は多岐にわたり、金融、犯罪対策、文化、税関、緊急支援、教育、エネルギーを含めた全18分野です。
首脳会議は不定期で開催され、外相会議は半年に1度開催されます。加盟国以外の国や機関は、観察者・分野別対話パートナーなどとして会合に参加できます。
日本は加盟国に含まれていませんが、黒海地域の重要性があるとして2010年3月に、分野別対話パートナーとして地位の申請を行い、同年5月に分野を特定しない分野別対話パートナーとして地位が承認されました。