トランプ政権、ウクライナへの全軍事支援を一時停止 ゼレンスキー大統領とは激しい口論へ

米国のトランプ政権が、対ロシア戦を継続するウクライナへの全軍事支援を突如中断する決断を下しました。この動きは、2月下旬に両国首脳間で行われた協議が不調に終わったことを受けての対応策です。
政策転換は戦闘の長期化を避け、交渉テーブルへウクライナ側を誘導する狙いがあるとされています。トランプ大統領から直接の指令を受けたヘグセス国防長官が実行した措置であり、ウクライナが和平に向けて前向きな姿勢を示すまで解除されない見通しです。
今回の凍結対象は現在移送途中の兵器や弾薬にとどまらず、中継地点となっているポーランド国内の倉庫に保管されている軍事物資にまで及んでいます。
ドイツの研究機関によると、過去3年間で米国はウクライナに約10兆円もの軍事援助を実施しており、全体支援額の約半分を占める規模となっています。この資金流入の停止は、ウクライナ軍の作戦能力に深刻な影響を与えるものと予想されています。
トランプ大統領は自身のSNSにおいて、ウクライナのゼレンスキー大統領の姿勢を厳しく非難し、「この男は米国の支援がある限り、平和を望んでいない」との見解を示しました。
記者団との会見では、「取引をしたくない人がいれば、その人物は長くはいられないと思う」と発言し、ウクライナ側の政権交代さえ示唆する強硬姿勢を見せています。
トランプ大統領とゼレンスキー大統領の対談、激しい口論へ発展
2月28日のホワイトハウスでの会談は、外交的な挨拶から一転、緊張に満ちた対立へと変貌しました。当初は和やかに進んでいたトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会話は、世界のカメラが見守る中で険悪な応酬へと変化しました。
状況が一変したのは、ヴァンス副大統領が外交による戦争終結を主張した時点です。これに対するゼレンスキー大統領の反応を「無礼」と非難し、米国の支援に感謝するよう要求したのです。
トランプ大統領も「君が勝つことはない」「感謝しなくてはならない」と厳しい言葉を投げかけ、「第3次世界大戦に繋がる事態でギャンブルしている」と批判しました。これに対しゼレンスキー大統領は、「私はトランプをやっているのではない。戦時下の大統領だ」と反論しています。
この異例の口論により、予定されていた共同記者会見と協定調印式は中止となり、ゼレンスキー大統領はホワイトハウスを早々に後にしました。両国関係の今後と、ウクライナ戦争の行方に世界の注目が集まっています。