
ゲノム編集技術が古代生物の復活を可能にする新時代の幕開けとなる成果が発表されました。米バイオテクノロジー企業「Colossal Biosciences(コロッサル・バイオサイエンス)」は4月7日、約1万3000年前に地球上から姿を消したダイアウルフの復元に成功したと公表しました。
この画期的な成果は、化石から採取したDNAサンプルの解析と現代のオオカミ細胞へのゲノム編集技術の応用によって実現。誕生した3匹の子オオカミは生後3〜6ヶ月で、現在は米国内の保護区で健康に成長しているとのことです。
同社はこの成功を「科学、自然保護、そして人類にとって大きな節目」と位置付け、他の絶滅種の復元にも意欲を示しています。
この技術の進展は、生物多様性保全や絶滅危惧種の保護に新たな可能性をもたらす一方、生命倫理や生態系への影響など議論すべき課題も投げかけています。
ネット上では、「こんな事してまで蘇らす必要があったのだろうか」「これがニホンオオカミであれば、どれほど感動的だろうか」「未来の生態系に影響を与えかねないのではないだろうか」などの意見が寄せられています。
ダイアウルフとは?「恐ろしいオオカミ」の実像
ダイアウルフ(学名:Aenocyon dirus)は、約30万年前から1万年前まで北米大陸を中心に生息していた大型の肉食獣です。その名前はラテン語で「恐ろしい」を意味する「dirus」に由来し、その強大な体格と捕食力から名付けられました。
長年、現代のオオカミの近縁種と考えられていましたが、2021年のゲノム解析により、タイリクオオカミとは約570万年前に系統が分かれた別系統の生物であることが判明。むしろジャッカル類に近い「新世界」の系統であることが明らかになり、現在はAenocyon属に分類されています。
体長約125cm、体高80cm前後で、現生のオオカミより頑丈な体格を持ち、特に頭部は幅広く強力な顎と大きな歯を有していました。群れを形成して狩りをする社会性動物で、一夫一妻制の家族構造を持っていたと考えられています。
最終氷期の終わりとともに大型草食動物の減少や気候変動、人類との競合などの複合的要因により約1万年前に絶滅したと考えられていますが、2025年、米国のバイオテクノロジー企業がゲノム編集技術を使い、ダイアウルフの特徴を持つ個体の復元に成功しました。