中国・比亜迪(BYD)がVWグループを抜き去る 中国自動車市場で歴史的な首位交代

中国の自動車業界で大きな転換点が訪れました。長期間にわたってトップの座を維持してきたドイツのフォルクスワーゲン(VW)グループが、中国の電気自動車メーカー比亜迪(BYD)に首位の座を明け渡したのです。

VWグループの年間販売実績は2019年の400万台超から2024年には300万台を下回るまで落ち込み、一方でBYDは2024年の12ヶ月のうち10ヶ月でVWグループを上回る好調ぶりを見せました。

この逆転劇の背景には、15万元(約300万円)以下の普及価格帯での明暗が大きく影響しています。VWグループがこの価格帯で2016年の200万台から2024年の75万台へと大幅に減少させた一方、BYDは約200万台まで拡大し、VWグループが過去に築いた市場規模に匹敵する実績を記録しました。

S&Pグローバルモビリティの川野義昭氏は、VWグループの苦戦要因として新エネルギー車のラインアップ不足に加え、先進運転支援システムなどのスマート機能での価格競争力の差を挙げています。

実際、中国のSNSではBYDの車種は「スマートドライブ」への言及が多い一方、VWの車種は「価格」や「SUV」といった基本的な要素への注目が目立っています。

比亜迪(BYD)とはどんな会社? 世界最大手EVメーカーの全貌

比亜迪(BYD)は、1995年に中国・深圳でバッテリーメーカーとして創業したグローバル企業です。当初は携帯電話やPC用のリチウムイオン電池を製造し、2000年にはMOTOROLA、2002年にはNOKIAのサプライヤーとして中国メーカー初の認定を受けました。

転機となったのは2003年の自動車事業への参入です。バッテリー技術で培った知見を活かし、電気自動車の開発に本格参入しました。

現在では世界6大陸、100を超える国と地域、400を超える都市で電気自動車を展開する世界最大手のEVメーカーへと成長を遂げています。

同社は「Technological innovations for a better life(より良い生活のための技術革新)」をブランド理念に掲げ、ITエレクトロニクス、電気自動車、新エネルギー、モノレールの4大事業を展開しています。

従業員数は90万人を超え、売上高は2023年に12.6兆円、2024年には15.5兆円に達しました。香港証券取引所と深圳証券取引所に上場しており、Fortune誌の「世界を変える52社」で3位にランクインするなど、国際的な評価も高い企業として知られています。

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