
BTSをはじめとする世界的K-POPアーティストが所属する韓国最大手エンタメ企業「HYBE(ハイブ)」が、金融関連の重大疑惑で当局の厳しい追及を受けています。
5月27日にソウル市竜山区の同社本社に対する家宅捜索が実施され、創業者と元従業員による複数の不正行為疑惑が浮上しました。ソウル南部地検が主導する第一の捜査は、資本市場法違反に関するものです。
同社の一般社員が2021年1月、当時のビッグヒット・エンターテインメント(現:HYBE)によるYGプラス投資計画という機密情報を不正に取得し、事前に同社株式を購入して約2,500万円相当の不当利益を獲得した疑いが持たれています。
会社側は「該当者は一般職員であり、当局の要請に協力している」と説明していますが、内部情報管理体制の甘さが露呈した形です。
さらに深刻なのは、ソウル警察庁金融犯罪捜査隊が進める創業者パン・シヒョク議長に対する詐欺的不正取引疑惑です。同議長は2019年末時点で既存投資家に対し「株式公開の予定はない」と虚偽の説明を行いながら、水面下では上場準備を進めていたとされます。
特に問題視されているのは、議長が知人設立の私募ファンドに自己保有株を売却し、売却益の30%を共有する密約を結んでいた点です。
この重要な契約内容は投資家向けの目論見書に記載されておらず、透明性を欠いた取引として追及されています。結果的に上場後、議長は約420億円もの巨額利益を手にしました。
金融監督院も独自に状況確認を進めており、近く検察への正式な捜査依頼を行う方針を固めています。韓国エンタメ業界の象徴的存在であるHYBEを巡る今回の疑惑は、業界全体の信頼性に大きな影響を与える可能性があります。
ネット上では、「HYBEは次から次へと問題ばかり」「トップがこれだから社員もいろいろとやらかしていそう」「よくこんな会社で働きたいと思うな」などの意見が寄せられています。
HYBEとはどんな企業? 音楽業界を革新するグローバル・エンタメ企業
HYBEは「We believe in music」の理念を掲げ、音楽産業に革新をもたらす韓国のグローバル・エンターテインメント企業です。
2005年にパン・シヒョク氏がビッグヒット・エンターテインメントとして創業し、現在は世界最高水準のエンターテインメント・ライフスタイル・プラットフォーム企業への成長を目指しています。
同社の主な特徴は、従来の音楽ビジネスモデルを根本から変革し、アーティストとファンの双方に最大限の価値を提供する点です。
韓国本社を中心に米国と日本にも拠点を設置しており、各地域の特性に応じた事業展開を行っています。現在はイ・ジェサン氏がCEO、米国ではスクーター・ブラウン氏、日本ではハン・ヒョンロック氏がそれぞれ最高責任者を務め、グローバル体制を構築しています。