大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」 河森正治氏プロデュースのVRによる没入型スペクタクル体験

2025年大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」は、メカニックデザイナーでありアニメーション監督の巨匠、河森正治氏がプロデュースするパビリオンです。「いのちを育む」をテーマに、来場者が生命の奥深いつながりを五感で体感でき、これまでにない冒険が楽しめます。河森正治氏による独創的な世界観で描かれる「いのちのスペクタクル」が体験できる本パビリオンを紹介します。
<目次>
コンセプトは生命の多様性を表現する「いのちの礁」

「いのちめぐる冒険」は、地球上のあらゆる生命が持つ相互接続性と、それを守り育むことの重要性について考えるきっかけとなるパビリオンです。建築のコンセプトは「いのちの礁(いのちのしょう)」。海のサンゴ礁のように、多様な生命が息づき、育まれる場所をイメージして作られています。河森氏の創造性から生まれたこの「いのちの礁」は、来場者が足を踏み入れた瞬間から生命の多様性と躍動感を全身で感じられるよう設計されています。
河森正治氏と株式会社乃村工藝社が手掛ける有機的な「礁」の構造

パビリオンの建築デザインは、河森正治氏のチームと、株式会社乃村工藝社が協力して手掛けています。その特徴は、まるで生き物そのもののような有機的な形状です。構造全体がサンゴ礁を模しており、ランダムに積み重ねられたような要素が、自然の中で生命が育まれる空間を物理的に表現しています。来場者は展示の内容だけでなく、パビリオン内を進むことで、「いのちの循環」を冒険するような感覚を味わえる構造です。
五感で体験する「いのちのスペクタクル」
「いのちめぐる冒険」では、最先端の技術を駆使した展示が用意されており、来場者は五感を使って楽しむことができます。河森正治氏ならではの映像表現や空間演出が、私たち自身の「いのち」への向き合い方を問いかけます。
超時空シアターでは、河森作品を彷彿とさせる時間を超えたスケールで生命の物語が展開されるシアター体験ができます。カメラ付きVRゴーグルを使用することで、個人としての「没入感」と鑑賞者全員の「一体感」が実現され、かつてない宇宙スケールの食物連鎖を時空間で体験が可能です。
また、「ANIMA!」では、生命の根源的なエネルギーや、生き物が持つ本能的な輝きを感じさせるアトラクションが、そして「宇宙の窓」では、広大な宇宙から生命を見つめ直し、その奇跡や尊さを感じさせる空間演出が楽しめます。
さらに、「無限メタモルフォーゼ」では、生命が持つ変容や進化の可能性を、インタラクティブな表現で体験できるセクションが用意されています。
メカデザインの巨匠・河森正治氏が万博に込めるメッセージ
「いのちめぐる冒険」のプロデューサーである河森正治氏は、1960年富山県出身のアニメーション監督、メカニックデザイナーとして世界的に著名な存在です。彼の代表作には、画期的な変形メカで知られるアニメ「超時空要塞マクロス」シリーズや、「創聖のアクエリオン」シリーズなどがあります。
アニメ作品にとどまらず、「トランスフォーマー」シリーズのデザインや、ソニーのエンターテイメントロボット「AIBO」のデザインにも携わるなど、その活動領域は多岐にわたります。彼は単にメカをデザインするだけでなく、作品の世界観や物語全体を構築するストーリーテリングの才能にも長けています。
今回の大阪・関西万博のシグネチャーパビリオンでは、「いのちを育む」というテーマをもとに、独創的な視点と表現力で来場者が楽しめるように設計されています。彼の作品に通底する「変形」や「合体」といったコンセプトが、「いのちの循環」や「生命の多様性」といったテーマとどのように融合し、新たな体験を生み出すのか、河森正治氏の世界観に触れたい人におすすめです。
4月9日のメディアデーには、河森正治氏や声優の東山奈央氏、梶裕貴氏、七海ひろき氏などによる超時空シアター&ANIMA!体験会トークショーも行われました。