
ドイツの新法制度が想定外の事態を招いています。性的少数者への差別発言により刑事処罰を受けた極右思想の活動家が、収監を前に行政手続きのみで性別を変更し、女性刑務所への入所が認められました。
事の発端は、2024年に施行された「性別自己決定法」にあります。従来は医師の診断書や司法判断が必要だった性別変更手続きを簡素化し、本人の意思のみで変更可能とした制度です。14歳以上であれば誰でも利用でき、外科的処置も不要という画期的な内容でした。
この制度を利用したのが、差別的言動で有罪となったマルラ・スベニャ・リビヒという人物です。もともと男性名「スベン」で活動していた同氏は、性的マイノリティー(LGBTQ)当事者を侮蔑する発言を重ね、憎悪扇動の罪で懲役刑が確定していました。
判決確定後の今年初頭、同氏は突如として法的性別を女性に変更する届出を提出しました。名前も女性形に改め、現在は東部ザクセン州の女性刑務所で服役予定となっています。
女性刑務所では他の収容者への配慮から単独房での処遇を検討していますが、当人は「人権侵害」として抗議しています。また、自らを「政治的弾圧を受けた女性活動家」と位置付け、SNS上で主張を展開しています。
ネット上では、「女性受刑者は恐怖だと思います」「裁判所の判断も無く法的に性別変更出来るのは、法律が間違っているとしか思えない」「外国人受刑者のターゲットにされるの恐れて女性刑務所に逃げたんだろうな」などの意見が見られました。
LGBTQとは何か?当事者は深刻な課題に直面
LGBTQとは、多様な性的指向や性自認を持つ人々を表す包括的な用語です。レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(複数の性別に惹かれる人)、トランスジェンダー(身体的性と性自認が異なる人)に加え、「Q」はクィアまたはクエスチョニングを指します。
クィアは従来の分類に当てはまらない多様な性を表し、クエスチョニングは自身の性的指向や性自認が未確定の状態を示します。これらの概念は、人の性が身体的性、性自認、性的指向、性表現という4つの要素で構成されるという理解に基づいています。
しかし、LGBTQ当事者は依然として深刻な課題に直面しているのが現状です。就職や住居確保での差別、医療現場での不適切な対応、家族からの理解不足などが挙げられます。
特に日本では、同性婚の法的認知や性別変更に関する要件の厳格さなど、制度的な課題も残されています。
一方で、LGBTQ当事者の権利保護を目的とした制度設計において、新たな課題が浮上しているのも事実です。ドイツで発生した事例のように、性別自己決定法が本来の趣旨とは異なる形で利用されるケースが報告されており、制度の適切な運用方法について議論が必要とされています。












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