
学校法人「森友学園」をめぐる公文書改ざん問題で、改ざんを苦に自殺した元近畿財務局職員・赤木俊夫さん(当時54歳)の妻である雅子さん(54歳)が10月17日、大阪市内で記者会見を開きました。財務省に対し、改ざんを主導したとされる佐川宣寿元理財局長ら財務省幹部のメールやデータを優先的に開示するよう申し入れたことを明らかにしました。
雅子さんは会見で「本当に大切なところをうやむやにされている、そんな感じがします」と現状への不満を語りました。これまで4回にわたり開示された文書には、改ざんの発案者や具体的な指示系統を示す証拠が含まれておらず、「紙爆弾みたいな感じで、本当に苦しんでいる夫のことを少しは思ってほしい」と財務省の対応を批判しました。
この問題は2018年3月、赤木さんが森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改ざんを命じられたことを苦に自殺したことから始まりました。財務省は当時の理財局長だった佐川宣寿氏が改ざんを主導したとしていますが、具体的な指示の経緯は明らかになっていません。
2025年1月、大阪高裁が財務省の文書不開示決定を違法とする判決を下し、これを受けて4月から関連文書の段階的開示が始まりました。開示対象となる文書は全体で約17万ページに及び、これまでに計約5万4000ページが公開されています。
10月8日に行われた4回目の開示では、赤木さんが送受信した電子メール約1000件や安倍昭恵氏らとの交渉記録も含まれていましたが、改ざんの核心に迫る内容は依然として不明のままです。
今回の申し入れでは、具体的に以下の3点を優先的に開示するよう求めています。第一に、開示対象の電子データのファイル名などの概要を記載した一覧表。第二に、佐川元理財局長ら改ざんに関与した財務省幹部や理財局職員のメールデータと手控え。第三に、近畿財務局で改ざんに関わった幹部や職員のメールデータと手控え。
雅子さんは「夫の周囲ではなく、改ざんを一番最初にやろうと発案した人の指示が知りたい」と強調しています。代理人弁護士も、「財務省側の開示が問題の核心に迫っていない」と現状を批判し、再調査の必要性を訴えました。
一方、財務省は「国の主張が受け入れられなかった」としつつも、「他の裁判所で訴訟が継続していることから、その判断も注視していく」と慎重な姿勢を見せています。次回の開示は12月を予定しており、引き続き真相解明への注目が集まっています。
森友学園問題の背景と影響
この問題は2016年、大阪府豊中市の国有地が森友学園に評価額9億5600万円から約8億円値引きされた1億3400万円で売却されたことから始まりました。地中のゴミ撤去費用として約8億円が差し引かれ、2025年10月に新たな調査結果が発表され、実際のゴミの量は当時の試算の4分の1であったことが判明しています。
2017年2月、国会で当時の安倍晋三首相が「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員もやめる」と答弁。その後、財務省理財局の指示で決裁文書から安倍昭恵氏や政治家に関する記述が削除されていたことが発覚しました。赤木さんは2017年2月26日に改ざん指示をメールで受け、緊急登庁を命じられ、7月にうつ病と診断。2018年3月7日、自宅で自殺しています。
遺書には「元は、すべて、佐川理財局長の指示です」と記されていました。この事件は日本の公文書管理と行政の透明性に大きな問題を投げかけ、民主主義の根幹を揺るがす事態として現在も真相解明が続けられています。










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