香港・大埔の高層住宅火災、死者128人に 火災報知器が全棟で不作動か

香港・大埔の高層住宅火災、死者128人に 火災報知器が全棟で不作動か

香港北部・新界地区の大埔にある公営の高層住宅団地「宏福苑」で、26日に発生した大規模火災で、香港政府は28日、これまでに128人の死亡を確認したと発表しました。

負傷者は79人に上り、約200人と連絡が取れていない状態が続いており、犠牲者がさらに増えるおそれがあるとしています。この団地には約2000戸があり、4600人以上が居住していたとされ、香港としては過去最悪規模の高層住宅火災となっています。在香港日本総領事館によると、日本人が被害に遭ったとの情報は28日夕時点でも確認されていないということです。

火災は26日午後、高さ30階を超える住宅8棟から成る高層住宅群のうち1棟の低層階で発生し、その後、外壁補修工事のために設置されていた竹製足場の防護ネットに燃え広がりました。可燃性の高い発泡スチロール製の装飾材や断熱材が、窓付近などに設置されていたこともあり、炎は外壁を伝って急速に上層階へと延焼し、最終的に8棟のうち7棟が被害を受けたとされています。窓ガラスが高熱で割れて内部に炎と煙が流れ込んだことで、多くの住民が室内に取り残され、避難が遅れたことが被害拡大につながったとみられています。

消防当局が8棟すべての建物で火災報知器の作動状況を点検したところ、いずれの棟でも正常に作動していなかったことが確認されました。火災発生時に警報が鳴らなかったため、住民の避難開始が大幅に遅れたとの証言が複数の香港メディアで報じられており、防火設備の不備と避難態勢の遅れが多数の死傷者を出した要因との見方が強まっています。団地は高齢者や家族世帯が多く住む地域でもあり、エレベーターの停止や階段・通路の混雑によって、避難行動そのものが困難になった可能性も指摘されています。

現場の高層住宅群では昨年7月から外壁補修工事が行われており、8棟すべてに竹製の足場が組まれ、建物全体を覆うように防護ネットが張られていました。竹製足場は香港で広く用いられてきた伝統的な工法ですが、燃えやすく耐火性に問題があるとの指摘があり、今回の火災でも足場やネットが「火の通り道」となって延焼を加速させたとみられています。香港政府は、同様の外壁工事を行っている住宅団地などを対象に、足場や使用資材の安全性を一斉に点検する方針を示しました。

一方、香港の汚職取り締まり機関である廉政公署(ICAC)は、今回の高層住宅火災に関連して、修繕工事に関わったコンサルティング会社の幹部ら8人を逮捕したと地元メディアが伝えています。ICACは外壁補修工事の入札や施工をめぐり、賄賂や不正な契約がなかったかどうかを調べており、工事の過程で安全基準が軽視された可能性を念頭に、捜査を進めているとされています。香港警察もすでに過失致死の疑いで施工会社の役員ら3人を逮捕し、オフィスなど関係先からパソコンや書類を押収して、施工管理や資材選定の経緯を詳しく調べています。

防災体制見直しと竹製足場の行方

今回の大規模火災を受け、香港社会では高層住宅における防災体制の抜本的な見直しを求める声が強まっています。特に、老朽化した公営住宅での改修工事が増えるなかで、火災報知器などの安全設備の点検や交換を誰がどのように担うのか、住宅管理会社や行政の責任範囲を明確にする必要性が浮き彫りになりました。また、廊下や階段に私物を置くなど避難経路が狭められていたとの指摘もあり、住民の防災意識を高める取り組みも課題となっています。

火災の拡大要因となった竹製足場については、香港政府が金属製足場への移行など、規制強化を検討する動きも報じられています。中国本土の一部地域では、既に竹製足場の使用が制限または禁止されており、香港でもコストや施工慣行とのバランスを取りながら、耐火性や安全基準をどこまで引き上げるかが今後の焦点です。日本政府も、高市早苗首相名で犠牲者への弔意と被災者へのお見舞いメッセージを発出しており、在香港日本総領事館は引き続き、日本人の安否確認と情報提供の呼びかけを行うとしています。

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