
地球周回軌道上を漂う宇宙ごみ(スペースデブリ)が急速に増加するなか、英国サリー大学の研究者らが12月1日、この問題に体系的に対処するための論文を発表しました。論文では使用する材料を減らして既存の衛星を修理し、修理不能なものは再利用するという包括的な計画を提示しています。
ESA 2025年報告書によると、現在約4万個の物体が宇宙監視ネットワークで追跡されており、そのうち約1万1000個が稼働中の衛星です。残りの大半は宇宙ごみであり、深刻な影響を及ぼしてきました。
1983年にサリー・ライド氏がスペースシャトル「チャレンジャー」で初飛行を行った際には、残骸が窓に弾痕のような亀裂を残しています。ハッブル宇宙望遠鏡でも宇宙ごみがパラボラアンテナを貫通する被害が確認されました。
さらに2009年2月には、アメリカのイリジウム33号と既に機能を停止していたロシアの軍事用通信衛星コスモス2251号が、シベリア北部上空約790キロメートルで衝突し、1000個以上のデブリが軌道上にまき散らされたとされています。
これらの事例の背後に潜む大きな懸念が「ケスラーシンドローム」です。低軌道上の物体が一定以上に達すると、衝突が新たな破片を生み、その破片がさらなる衝突を引き起こすという連鎖反応が発生します。最悪の場合、その軌道全体がごみで埋め尽くされ、利用できなくなる恐れがあるのです。
2023年、学術誌スペースポリシーに掲載された論文によると、宇宙ごみ問題が解決されなければ人工衛星や世界通信システムに損害が生じ、世界のGDPは1.95パーセント低下する可能性があります。
修理と再利用で宇宙の持続可能性を実現
今回の論文は、AIによる衝突回避などの既存技術と新発想の組み合わせを提案しました。宇宙ステーションを修理・再利用の拠点にすることや、設計段階から廃棄を考慮することが具体例として挙げられています。
しかし、宇宙の持続可能性を実現する取り組みには地上に存在しない課題が伴うと、ノースダコタ大学の宇宙学教授マイケル・ドッジ氏は指摘します。宇宙条約では、一度打ち上げた物体は永遠にその国の所有物だと規定されており、他国が生み出した残骸を別の国が回収することは違法となるのです。
宇宙ごみの回収前にそれらを所有するすべての国から許可を得る必要があるとすれば、宇宙ごみの再生利用はほぼ不可能です。一方で、条約の別の条項は各国に宇宙の汚染回避を求めており、自国の宇宙ごみを回収する義務があると解釈できる可能性があるとドッジ氏は発言しています。
研究の著者の一人で、サリー大学研究・イノベーション学部の副学部長を務めるジン・シュアン氏は「人々はこれらの持続可能性の発想に関心を寄せているし、実践してみたいと思っている。しかし、重要なのは資金とインセンティブがあるかどうかだ」と述べました。








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