日本政府は、離婚後にも両親が子どもの親権を共に持つ「共同親権」の導入を含む民法の改正案を閣議決定しました。この改正案は、両親の合意がある場合に限り共同親権を許可し、合意に至らない状況では、家庭裁判所がどちらかの親に「単独親権」を与えることができる内容を盛り込んでいます。
また、家庭内での暴力や虐待など緊急を要する事情が認められる場合には、単独親権の行使が認められます。政府はこの改正案を現在の通常国会に提出し、成立を目指す方針です。現行の民法では、離婚後の子どもに対する単独親権が原則とされているため、この改正は大きな転換点となります。
単独親権が原則となることに対し、2021年3月から法制審議会で共同親権についての議論が行われていたことから、今回の決定は長期にわたる検討の末の結論と言えるでしょう。ネット上では、「正直遅すぎる」「親子断絶する同居親には諸外国と同レベルの罰則が必要」「共同親権をうまく活用していくことを心から願っています」などの意見が寄せられています。
離婚した父母間の未成年の子ども 2021年には約18万人
日本では、離婚後の子どもの親権問題が長年議論されてきました。2021年3月から法制審議会の家族法制部会では、離婚後も父母が共に親権を持つ共同親権についての検討が行われ、2024年1月30日の37回目の会合で賛成多数により共同親権の導入が決定されました。
法務省によると、離婚した父母間の未成年の子どもは、1960年の約7万人から2021年には約18万人へと増加しているとのことです。この背景には、養育費の不払いや親子交流の断絶といった問題が存在し、離婚後も子どもの育成に関わりたいと願う親が増えています。この社会の変化に応じ、法務省は民法改正案を決定しました。
この改正案では、養育費の確実な支払いを保証する「法定養育費」制度と、調停・審判手続き中に親子交流を試行的に促進する制度が新設されます。ただし、共同親権の導入にあたってはDVや虐待の継続リスクに対する懸念があり、家庭裁判所の体制強化や親権者決定の基準、支援策の充実が国会審議の焦点となる見込みです。
小泉龍司法相は8日に、「改正案は父母の離婚に直面する子の利益の確保につながる」との見解を示しています。