航空燃料ケロシンが「極限まで逼迫」 中東情勢緊迫化で価格は1カ月で2.5倍に

夕日に照らされる飛行機

航空会社19社で構成される定期航空協会は3日、中東情勢の急激な緊迫化を背景に、航空燃料であるケロシンの需給が「極限まで逼迫」しているとの緊急声明を発表しました。軍需の急拡大に伴う世界的な買い占めが加速しており、米国のイラン攻撃開始からわずか1カ月で価格は約2.5倍という異常な高騰を記録しています。この深刻な事態が長期化すれば、日本の航空業界全体で年間数千億円規模のコスト負担増に繋がる恐れがあり、経営基盤を根底から揺るがしかねない危機的状況に陥っています。

特に懸念されているのが、地域住民の足となっている地方路線の維持です。国際線や一部の国内幹線では、燃料価格の変動分を運賃に転嫁する「燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)」制度が運用されていますが、多くの国内地方路線ではこの制度が導入されていません。定期航空協会は、自力でのコスト吸収が限界に達しているとして、このままでは不採算路線の減便や撤退を余儀なくされ、地方の移動インフラが崩壊するリスクがあると強く警鐘を鳴らしています。

また、物流業界も同様の危機に直面しています。日本物流団体連合会も同日、異例の声明を発表しました。燃料価格の高騰は航空貨物だけでなく、物流網全体に波及しており、もはや企業の自助努力だけで対応できる範囲を超えていると指摘。荷主や消費者に対して、運賃・料金改定への理解を求めるとともに、積載効率の向上や燃料節約への意識を高めるよう強く呼びかけています。

ネット上では、「地方路線がなくなると帰省や仕事に困る」「物価高に加えて航空券まで上がると生活が苦しい」「中東情勢がこれ以上悪化しないことを祈るしかない」といった、先行きの不透明感に対する不安の声が数多く寄せられています。

燃料高騰が直撃する航空経営 業界団体が求める公的支援と理解

航空燃料の異常高騰を受け、定期航空協会は政府に対し、燃料税の減免措置や地方路線維持のための公的支援を検討するよう水面下で働きかけを強めています。同協会の幹部は「コロナ禍からの旅客需要回復が進む中で、この燃料高騰は冷や水を浴びせられた格好だ」と述べ、経営改善の動きが停滞することへの強い危機感をあらわにしました。

また、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)などの大手各社も、機体の軽量化や最新の省エネ機材への更新、フライトプランの最適化による燃費向上など、あらゆる策を講じています。しかし、価格が1カ月で2.5倍という現状では、これらの対策も焼け石に水の状態です。今後は、燃料価格の推移とともに、政府がどのような支援策を打ち出すのか、また航空各社が運賃改定に踏み切るのかどうかが大きな焦点となります。国民の生活に密着した航空インフラをいかに守り抜くか、官民一体となった迅速な対応が求められています。

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