
75歳以上の高齢者の金融所得を医療保険料や窓口負担の判定に反映させる健康保険法改正案が、4月9日に衆院本会議で審議入りしました。多額の株式配当や譲渡益を得ながらも確定申告をしていないために保険料や窓口負担が低く抑えられているケースも存在し、不公平の是正に向けた一歩として注目されています。
改正案では、75歳以上の個人の配当所得などを記載した「法定調書」を、証券会社などの金融機関にオンラインで後期高齢者医療広域連合へ提出することを義務付け、上場株式の配当などの金融所得を保険料算定や窓口負担割合の判定に反映させます。ただし、少額投資非課税制度(NISA)による非課税の金融所得は対象外です。
現状では、株式配当や譲渡益などは確定申告をしない限り市区町村が把握できません。このため、厚生労働省は対象となる金融所得の多くが保険料算定に反映されていないと指摘しています。確定申告をすると負担が重くなる「逆転現象」が問題視されてきました。
厚生労働省が社会保障審議会に示した具体例では、年金収入230万円・金融所得50万円の後期高齢者の場合、確定申告をすると窓口負担が2割で保険料は年約17万円となる一方、申告しなければ窓口負担が1割で保険料は年約12万円にとどまり、確定申告の有無だけで負担に大きな差が生じています。
今回の見直しは75歳以上の後期高齢者に限られ、70〜74歳は対象外です。また、金融資産の残高そのものは対象外で、所得(フロー)のみを反映する設計です。改正法が成立した後、実際に保険料や窓口負担に反映されるのは早ければ2029〜2030年頃とされています。
OTC類似薬に追加負担 2027年3月から新制度開始へ
同じ改正案には、市販薬と同様の成分・効能を持つ「OTC類似薬」に対して患者に追加負担を求める仕組みも盛り込まれています。
厚生労働省によると、対象は保湿剤や抗アレルギー薬、解熱鎮痛薬など77成分・約1100品目です。薬剤費の4分の1を「特別の料金」として保険外で徴収し、通常の自己負担に上乗せされる形です。3割負担の患者の場合、合計負担割合は約47.5%に達する見込みで、2027年3月に制度開始予定となっています。
追加負担が受診控えや治療中断につながる懸念もあり、こどもや難病・がん患者、医師が医療上必要と判断する患者などは、対象外または負担軽減とする方向で検討が進められています。今後の国会審議と対象範囲の詳細な制度設計が注目されるところです。









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