アルツハイマー病の治療に新たな光明が差し込んでいます。米国の製薬大手イーライリリーが開発した新薬「ドナネマブ」が、厚生労働省の専門家部会で製造販売が了承されました。
「ドナネマブ」は、アルツハイマー病患者の脳内に溜まる異常なたんぱく質「アミロイドβ」を標的とした画期的な薬剤です。人工的に作られた抗体を用いてアミロイドβを取り除くことで、症状の進行を抑える効果が期待されています。
イーライリリーは2023年8月に厚生労働省へ承認申請を行い、専門家部会での審議を経て、有効性が確認されました。また、安全性についても重大な懸念はないとの判断が下されています。
投与対象は、認知症を発症する前の「軽度認知障害」の人や、軽度の認知症の人を想定しています。今後、厚生労働省による正式な承認が下れば、国内で2例目となるアミロイドβを直接ターゲットにした治療薬の誕生となります。
アルツハイマー病は、高齢化社会が進む日本にとって喫緊の課題です。「レカネマブ」に続く新薬の登場は、患者や家族にとって大きな希望となるでしょう。
ネット上では、「金持ち、生活保護世帯、医療費限度額の低い低所得世帯であって実際には親族の支援を受けている人ぐらいしか現状は使えなさそうだね」「いわゆる、アミロイド仮説が正しければ、夢の薬となるのでしょう」「どうしてもやりたい方は全額自費でやってほしいですね」などの意見が寄せられています。
「ドナネマブ」の有効性が臨床試験で確認 アミロイドβが平均84%減少
アルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」の有効性が、大規模な臨床試験で確認されています。臨床第3相試験「トレイルブレイザーアルツ2(TRAILBLAZER-ALZ2)試験」では、1,736人の患者を対象に18ヶ月間のドナネマブ投与を行いました。
その結果、プラセボ群(投与なし)と比べて脳のアミロイドβが平均84%減少し、認知機能や日常生活能力の低下が22〜29%抑制されたのです。
さらに、病気の進行度が軽い患者群では、症状の悪化を35〜36%遅らせる効果が見られました。これは約7.5ヶ月分の遅延効果に相当します。早期の治療介入がより高い効果に繋がる可能性が示唆されました。
一方、イーライリリーは2021年に迅速承認を目指しましたが、米食品医薬品局(FDA)から安全性データの不足を理由に見送られています。しかし、有効性への懸念は示されませんでした。同社は2023年7月に米国で通常承認を申請し、同年9月には日本でも承認申請を行っています。