
エーザイとバイオジェンの共同開発によるアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、米食品医薬品局(FDA)から有望な見通しが示されました。FDAのスタッフは6月7日、レカネマブが患者に有意義な利益をもたらすことが後期臨床試験のデータで示されており、さらには薬の安全性に関する懸念が完全承認の取得を妨げる可能性は低い、との見解を示しました。
外部専門家からなる諮問委員会が、9日の会合でレカネマブの完全承認について協議する前に文書を公表。それによると、新たなリスクを強調する内容は見られなかったとのことです。
専門家たちはこの文書について、完全承認が下りることを示唆しているとコメント。その結果は、7月6日までに公表される見通しです。
すでに2023年1月にFDAから迅速承認を得ていたレカネマブについて、RBCキャピタル・マーケッツのアナリストであるブライアン・エイブラハムズ氏は、「第一印象では、9日の諮問委員会会合が議論を呼ばない見込みで、支持する結果になる可能性が高いことを示している」とコメントしました。その上で、レカネマブの年間売上高がいずれ100億ドルに達する可能性があると示しました。
これらの動向は、アルツハイマー病治療における新たな可能性を予感させます。ネット上では、「素晴らしい」「早く承認されてほしい」などのポジティブなコメントが寄せられています。
アルツハイマー病とは?認知症の一大課題
アルツハイマー病は、全世界の高齢者にとっての一大課題であり、その研究開発には莫大な時間とリソースが投じられています。
この疾患は、認知機能の低下をもたらす認知症の1種で、特に記憶、思考、行動に深刻な影響を及ぼします。病状が進行するにつれ、日常生活を自立して送ることが難しくなり、最終的には全面的な介護が必要となります。
全世界では4,400万人以上の人が認知症を抱えており、その大半がこのアルツハイマー病です。この数値は、高齢者人口の増加に伴って急速に増え続けており、2030年にはさらに拡大すると予想されています。
現在、アルツハイマー病の治療法は限定的であり、病状の進行を遅らせることができる治療法は存在しますが、疾患そのものを治す方法は未だ見つかっていません。しかし、今回公表されたレカネマブの進展により、アルツハイマー病の長年の課題に大きな影響を与える可能性が出てきました。