カナダのコンビニ大手、セブン&アイHDに衝撃の買収提案 特別委員会を設立し検討

小売り大手のセブン&アイ・ホールディングス(HD)に、カナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールから衝撃の買収提案がありました。セブン&アイHDは社外取締役で構成する特別委員会を設立し、提案の是非を慎重に検討しています。

クシュタールは「友好的な提案」と述べましたが、詳細は明らかになっていません。報道を受け、セブン&アイHDの株価は前日比23%高の2,161円で取引を終えました。時価総額は約5兆6,000億円に達しました。

アシンメトリック・アドバイザーズのアミール・アンバーザデ氏は、円安が買収のインセンティブになっていると指摘しています。イトーヨーカドーやデニーズの売却で、長期的な好調維持も可能だと述べています。

セブン&アイHDは2023年、米株主から事業売却を迫られるなど外圧が強まる中、海外コンビニ事業での積極的なM&Aを進めてきました。一方、クシュタールは全世界で1万4,000店超を展開し、買収にも積極的です。

アミール・アンバーザデ氏は、7兆円あれば買収可能かもしれないと示唆しています。しかし、ライトストリーム・リサーチのアナリストである加藤ミオ氏は、クシュタールの財務状況を鑑みると強力な提案は難しく、魅力的な条件でなければセブン&アイHDも売却に応じないだろうと述べました。

セブン&アイHDへの買収提案、日本政府の同意が得られるかどうかがポイント

カナダ企業アリマンタシォン・クシュタールによるセブン&アイHDへの買収提案は、日本政府の同意が得られるかどうかがポイントとなります。海外資本による日本企業の買収は、外国為替及び外国貿易法(外為法)により規制される可能性があるためです。

財務省のリストでは、セブン&アイHDは事前届け出が必要な企業とされており、クシュタール側の買収が成功しても、その後の企業運営に支障をきたす恐れがあるとのことです。亜細亜大学の久野新教授は、セブン&アイHDの定款に情報処理や情報収集が含まれている可能性を指摘しています。

過去にも、2008年に英投資ファンドによる電源開発(Jパワー)株の追加取得計画が、政府の中止命令により頓挫した例があります。クシュタール自身も2021年、フランスの小売り大手への買収提案を断念した経験があるとのことです。

久野新教授は、サイバーセキュリティなどのリスク対応と、外資参入促進という2つの観点から、政府が微妙なかじ取りを迫られる案件が増えてきていると述べました。今後の買収展開から目が離せません。

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