新方式の汎用量子コンピューターが完成 理化学研究所やNTTなどの研究チーム

11月8日、理化学研究所やNTTなどの研究チームは、光を活用した新しい方式の汎用量子コンピューター実機が完成したと発表しました。この快挙を成し遂げたのは、理研量子コンピュータ研究センターの古澤明副センター長率いるグループです。

従来の量子コンピューターとは異なり、光の持つ特性を巧みに利用することで、より大規模な計算を可能にしました。現在、埼玉県和光市に設置されたこの実機は、年内にもインターネットを通じて研究者が利用できる環境が整えられる予定とのことです。

開発チームは、情報を多数の光パルスに詰め込み、「量子もつれ」と呼ばれる特殊な相関を持たせることで、高速かつ大規模な計算を可能にする巨大なネットワーク構造の構築に成功しました。

この新方式は、極低温環境を必要とせず、人工知能(AI)の中核である人工ニューラルネットワークの研究に適しているほか、省電力化も期待できるとされます。さらに、量子技術の知識がない人でも使えるよう、クラウドサービスの整備も進められています。

古澤明氏は「世の中で使ってもらえる量子コンピューターを作りたい」と語り、性能向上に対する強い意欲を見せました。光量子コンピューターの登場は、AIをはじめとする最先端分野の研究開発を大きく加速させることでしょう。

ネット上では、「素晴らしい頑張っていただきたい」「政府与党は、こうした先進的研究に対する資金援助を積極的にするべき」「日本の科学技術力を発展させるチャンス」などの意見が寄せられています。

東京大学の古澤明教授とは?2024年9月に「OptQC」を設立

東京大学の古澤明教授は、光量子コンピューター研究の第一人者として知られ、ノーベル賞候補としても注目を集めています。1998年、古澤明教授は世界で初めて量子テレポーテーションの実証実験に成功し、量子情報科学の発展に大きく貢献しました。

その後も量子もつれの研究を深化させ、2022年のノーベル物理学賞受賞者の研究にも影響を与えています。2024年9月、古澤明教授は光量子コンピューターのスタートアップ「OptQC」を若手研究者と共同で設立。取締役に就任しました。

OptQCは、古澤明教授の長年の研究成果を基盤とし、光量子コンピューターの実用化を目指しています。チームの革新的な研究は、量子情報科学の発展に欠かせない存在であり、将来のノーベル物理学賞受賞も大いに期待されるところです。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. ニュースでは触れられない“少年審判”の現場。「結果」ではなく「過程」の重みもあること
    18歳未満だと死刑にしないといった規定がある少年法。その規定が理由で結論が変わっているという事案はま…
  2. 中国がレアアース輸出規制を1年間停止 米中首脳会談の合意受け
    中国政府はレアアースの輸出規制強化措置を1年間停止することを正式に発表しました。10月30日に韓国で…
  3. 通常は激しく競い合う国内携帯電話業界で、前例のない協調路線が動き始めています。NTTドコモとSoft…

おすすめ記事

  1. モー娘。北川莉央、活動休止継続を発表 12月復帰目指し準備進行中

    2025-9-12

    モー娘。北川莉央、活動休止継続を発表 12月復帰目指し準備進行中

    アイドルグループ「モーニング娘。'25」の北川莉央(21)が、当初予定していた今秋の活動再開を延期し…
  2. 2023年11月23日木に栃木県の喜連川社会復帰促進センターで開催された「令和5年度きつれがわ矯正展」

    2024-1-15

    刑務所の中まで見れるイベント「きつれがわ矯正展」とは?

    2023年11月23日(木)に開催された「令和5年度きつれがわ矯正展」。年に一度、喜連川社会復帰促進…
  3. 「【論文紹介】 無痛分娩と オキシトシンの 使用による 児の自閉症リスク上昇 との関連」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

    2024-10-27

    【論文紹介】無痛分娩(分娩時の硬膜外麻酔による鎮痛)とオキシトシン(陣痛促進剤)の使用による児の自閉症リスク上昇との関連

    今回は、分娩時の硬膜外麻酔による無痛分娩で生まれた子どもが自閉症スペクトラム障害(ASD:Autis…

2025年度矯正展まとめ

2024年に開催された全国矯正展の様子

【終了】コンテスト

ライティングコンテスト企画2025年9-10月(大阪・関西万博 第4回)募集|東京報道新聞

【結果】コンテスト

【結果発表】ライティングコンテスト企画2025年7-8月(大阪・関西万博 第3回)

アーカイブ

ページ上部へ戻る