
総務省は5月9日、フジテレビおよび親会社のフジ・メディア・ホールディングス(HD)に対して、取引先との「あしき慣習の一掃」に向けた追加の行政指導を行いました。この措置は、両社が既に提出している再発防止策に加えて新たに求められたものです。
村上誠一郎総務相は閣議後の会見で、「視聴者やスポンサーからの評価収集・分析」も併せて要請したことを明らかにし、取り組み結果を5月中に報告するよう指示したと説明しました。
この追加指導は、4月3日に行われた厳重注意の行政指導を受け、両社が4月30日に提出した再発防止策に対するフォローアップの意味合いを持ちます。当初は7月までの進捗報告を求めていましたが、より短期間での対応を求める形となりました。
村上誠一郎総務相は「企業体質が問われており、信頼回復は一朝一夕にはできない」と認識しており、「これだけゆゆしき問題を起こしたわけだから、適宜報告頂かなければ。インターバルを置くと間が抜ける」と厳しい姿勢を示しています。
今回の要請は放送法の趣旨に基づく総務省設置法下の行政指導として実施され、両社の社内風土改革が本格的に進むか注目されています。
ネット上では、「今回の中居氏による性暴力や類似事案、さらには取材先、取引先、芸能人、スポンサー、広告代理店からのセクハラを、抽象的な対策のみで根絶できるとは思えない」「警察は動かず、要請とか生ぬるい表現しかしない一般とかけ離れた感覚に疑問を感じます」などの意見が寄せられています。
総務省における追加指導の詳細と村上誠一郎総務相の見解
総務省が両社に求めた対応は、(1)国民視聴者・スポンサー等の反応や評価を収集・分析し、それを踏まえた信頼回復策の実施、(2)取引先や取材先との「悪しき慣習」一掃について関係者への丁寧な説明と国民理解を得る取り組み、(3)これらの結果を5月中に報告することの3点です。
この要請は情報流通行政局長から伝えられたもので、放送法の趣旨に照らした総務省設置法に基づく行政指導となります。
村上誠一郎総務相は「信頼回復に向けて第一歩を踏み出した」と評価しつつも、「随時、強化策を見直すという息の長い取組をする以外に、信頼回復の道はない」と強調しました。
また、記者からの「経営悪化」「系列局への影響」「日枝前取締役相談役への退職金支払い」に関する質問には「個々の企業の経営状況や影響に関してはコメントを差し控える」としつつ、「フジテレビが適切に判断すべき」との立場を示しました。