推し活で心身ともに健康に!|ライター:秋谷進(たちばな台クリニック小児科)

最近、若年だけでなく中高年の方々まで、広がっている「推し活」。

推し活とは、自分が大好きで応援している存在(アイドル、俳優、アニメキャラクター、スポーツ選手など)のために様々な活動を行うことです。

2024年に株式会社ネオマーケティングが1173名を対象に行った調査によると、10~20代では32.7%もの人が推し活を行っており、30代では17.0%、40代で13.1%、50代で8.6%、60代で4.8%、70代で3.0%となっています。

60代でも20人に1人は「推し活」をやっているとは驚きです。

参照:ネオマーケティング社「推し活に関する調査 2024年」

推し活をやっていない人からすると「お金の浪費なんじゃないの?」「カモにされている」と揶揄されがちですが、そんなことはありません。実は、健康に対しても非常によい影響を与えます。

では、推し活はどんな影響を与えるのか?簡単にご紹介しましょう。

心理的な一体感と仲間意識でストレス軽減

推し活の大きな魅力の一つが、心理的な一体感と仲間意識です。

ライブ会場で他のファンと声援を合わせたり、同じ推しを持つ「同担」の仲間と交流したりすることで、強い連帯感が生まれます。この一体感は孤独感を和らげ、精神的な安定につながります。

実際、みんなで一緒に歌ったり踊ったりといった同期した行動には脳内でエンドルフィンという物質が分泌されることが知られており、痛みの感じ方が和らぐ(つまり痛みの閾値が上がる)ことも報告されています。

また、推しを通じた仲間との交流は社会的健康にもつながります。つまり、同じ趣味・熱意を共有できる友人がいることで、「分かってもらえる」「支え合える」という安心感が得られ、社会的にも安定するというわけです。

2023年に山口県立大学で行われた調査でも、推し活を始めてから「人生の充実感が増し、つらい時に推しから癒やしを得られるようになった」「共通の趣味の仲間ができた」と感じている人が多く見られました。

このように、推し活は、推しをみんなで応援することで、自身の心の支えにもなっています。

参照:「推し」活動が人の健康に及ぼす影響

免疫機能もアップ?体への嬉しい影響

心が元気になると、不思議なことに体の健康にも良い影響が出てきます。

楽しく前向きな気持ちでいるとき、身体ではストレスホルモン(コルチゾールなど)が低下し、免疫の働きが高まることが知られています。

実際に興味深い実験として、「自分の大好きな推しの映像を見る」という場面で体の反応を調べた研究があります。

参加者が推しの出ている映像を見てポジティブな感情が湧き上がったとき、脳の複数の領域が活性化し、血中ではドーパミン(幸福感ややる気をもたらす神経伝達物質)の分泌が増加しました。同時に、なんとナチュラルキラー細胞という免疫細胞の活性が上昇することも確認されたのです!

好きな人・憧れの人を見るだけで免疫が元気になるなんて驚きですが、心と体が密接にリンクしている良い例でしょう。これは脳の快感系(報酬系)のスイッチが入ることで、自律神経や内分泌の変化を通じて免疫系にも波及したと考えられています。

参照:Associations among central nervous, endocrine, and immune activities when positive emotions are elicited by looking at a favorite person

推し活でもっと健康になろう!

もし普段、手持ち無沙汰でやることがない、逆に日々に忙殺されてストレスがたまっているというときには、ぜひ自分の「推し」を見つけてみてください。

推し活は、心身にとても良い影響をもたらします。誰かを応援するって気持ちいいことですよね。相手のためだけではなくて、自身の健康のためにも、推し活をオススメします。

秋谷進医師

投稿者プロフィール

小児科医・児童精神科医・救命救急士
たちばな台クリニック小児科勤務

1992年、桐蔭学園高等学校卒業。1999年、金沢医科大学卒。
金沢医科大学研修医、国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院小児科、児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て現職。
専門は小児神経学、児童精神科学。

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