
2025年10月31日に、心理学と脳科学に基づいた金融診断ツール「お金ぐせ診断」の調査結果が公開されました。この調査は、株式会社ウェルス・マインド・アプローチが505名の男女を対象に実施したもので、日本人のお金に対する態度と心理傾向が浮き彫りになりました。
調査結果では、回答者の58.0%が「渋りすぎ」タイプと診断されました。このタイプの特徴は、節約や無料にこだわり、買い物を躊躇する傾向が強いことです。日本人のお金への慎重な姿勢が大きく影響した結果です。一方、「使いすぎ」タイプは24.0%で、お金を使うことで幸せを感じ、衝動買いや予算オーバーが多い傾向が見られました。「怖がりすぎ」タイプは9.5%であり、お金に対して恐怖や不安を感じ、支出やお金の管理を避ける特徴があります。その他「隠しちゃう」タイプは5.9%、「貢いじゃう」タイプは2.6%となっています。
「お金ぐせ診断」とは、自分の金銭感覚の傾向を把握し、適切なアドバイスを受けるための診断ツールです。この診断は、行動経済学、心理学、脳科学に金融を融合させた「ファイナンシャル・セラピー」に基づいています。調査期間は2025年3月15日から7月17日で、20代から60代以上の幅広い年代から均等にサンプルが集められました。この手法により、お金に対する理性的な判断だけでなく、心理的な側面がどのように金銭行動に影響を与えているのかが明らかになりました。
この結果から考察できることとしては、日本文化に根ざいた「貯蓄は美徳」という価値観が強く影響していると考えられます。近年の物価上昇や社会保障への不安が、支出抑制をさらに後押ししているとみられます。一方で「使いすぎ」「隠しちゃう」「貢いじゃう」といった少数派のタイプからは、感情や人間関係がお金の使い方に強く作用していることが分かります。お金に対する価値観は一律ではなく、「満たされたい」「守りたい」「見せたい」といった多様な感情が交錯していることが、本調査から明らかになったのです。
投資行動と心理傾向の連動
調査では投資意欲と心理傾向の関係も明らかになりました。「投資はしたくない」と答えた人は全体の38.8%に上りました。そのうち「怖がりすぎ」タイプが18.8%、「渋りすぎ」タイプが57.1%と、心理的な慎重さや恐怖心が顕著です。これらの人々は元本割れや相場変動への強い不安を抱えており、行動経済学でいう「損失回避バイアス」が強く作用していると考えられます。一方で投資経験者では「渋りすぎ」の割合が低下し、「使いすぎ」や「隠しちゃう」が増える傾向がみられています。投資経験がある層のほうがリスクを許容しやすく、行動にも柔軟性が出やすいことが示唆されています。調査開発者である金融教育家の上原千華子氏は、投資未経験者への支援には「感情面のハードルを下げる」ことが必要だと指摘しており、単なる金融知識の提供だけでなく、心理的なアプローチが重要であることが強調されています。



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