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- 政策提案の“型”を押さえよう。自治体との連携に必要な3つの視点

「行政が面白くなる!まちと未来を考えるシリーズ」Vo.3
石破政権から高市政権へとバトンが渡され、わが国初の女性首相が誕生しました。外交・安全保障、経済再生、少子化対策など、社会のあらゆる領域で政策の再構築が進んでいます。なかでも地方創生への注目度は高く、地域経済や地域資源の活用に「実効性ある取り組み」が求められています。
令和8年度の概算要求では、内閣官房・内閣府による「地方創生2.0」関連予算として2,444億円+事項要求が盛り込まれており、官民連携による地域支援は今後さらに加速する見通しです。そうした中で、企業が自治体と関わるうえで「どのような視点で提案を行うか」が重要です。
本稿では、民間企業が自治体と連携し、信頼ある提案を行うために不可欠な「3つの視点」について解説します。これらは単なる営業テクニックではなく、“政策提案の型”として理解されるべきものです。
<目次>
視点①: 自治体の課題を「自分ごと」として理解する

連携の起点は、「自治体が本当に困っていること」をどれだけ深く理解できるかに尽きます。職員は、限られた予算と人員の中で、住民の生活を守る政策を日々模索しています。よって、民間側が地域課題を“自分ごと”として捉え、共に考える姿勢がなければ、信頼は得られません。
まずは行政の「総合計画」「地域福祉計画」「観光ビジョン」などの政策文書にしっかり目を通し、その地域が何に投資しようとしているのかを理解すること。加えて、ヒアリングでは「どんな課題がありますか?」と真摯に聞くことが大切です。提案ありきではなく、現場を尊重する姿勢が信頼を生みます。
たとえば、北海道下川町では、町民と外部事業者が一緒になって森林資源の活用やエネルギー政策を議論し、持続可能な仕組みを実現してきました。また、自社が拠点を置く地域であれば、日常生活の中から課題を読み取る視点も重要です。
商店街の活気、空き家の増加、地域イベントの減少など、地域の変化に“生活者”として気づくことは、提案の質を大きく変えます。
視点②: 「自社でないとできないこと」を明確に言語化する

多くの企業が「自社の技術や商品を売りたい」という視点で提案を行いますが、自治体が求めているのは“課題解決の視点”です。そこで求められるのが、自社の強みを「政策的価値」に転換する言語化です。
たとえば、浜松市では地元スタートアップのAI分析技術を活用し、空き家問題に対応。企業は自社技術を押し出すのではなく、「AIによる地域資源の見える化」という視点で提案し、職員の共感を得ました。
「当社はこういう技術を持っています」ではなく、「近年ではこうした手法が注目されています。私たちもその領域で支援できます」という言い回しにすることで、自治体側も中立性を保ちながら前向きに検討できるようになります。
さらに、他自治体の事例や数字を交えると、より説得力が増します。「富山市ではLRT導入を契機に高齢者の移動課題を解消。私たちも地域交通に関わるノウハウを活かせます」といった具体性があると、担当者も“自分たちのまちに置き換えたイメージ”を持ちやすくなるのです。
視点③:他業種パートナーと連携し、事業全体を構想する

自治体との連携においては、部分的なサービスではなく“プロジェクト型提案”が求められています。たとえば、観光振興を目的としたプロモーションであれば、地域資源の磨き上げ、動画制作、SNS戦略、イベント企画までを網羅した提案が必要です。ここで鍵を握るのが、「他業種との連携」です。単独企業で完結する提案は限界があります。
一方で、複数の民間企業やNPO、地域団体とチームを組み、地域全体の構想を描くことで、実現性の高い提案になります。たとえば、岡山県美作市では、温泉施設と地元高校、映像制作会社が連携して地域のブランディングを行い、若年層向けの観光促進に成功しました。このような事例は、「連携によって新しい価値を生む」ことの好例です。
こうした連携体制が次なるビジネスチャンスにつながることもあります。自治体案件で出会った他社と共同で、新たな補助金事業や製品開発が生まれるケースも多々あります。
地方創生の次ステージへ

提案を本格化させるタイミングは春~夏ですが、準備は「冬」に始まっています。特に前述の3つの視点(課題理解・自社強みの言語化・パートナー連携)を冬の段階で整理しておくことが、新年度のアプローチの成功率を大きく左右します。
地方創生がスタートして約10年。今後は「地方創生2.0」として、補助金依存型から“共創型”へと進化していきます。企業も単なる受託者ではなく、地域社会の一員としての自覚が求められます。
政策提案とは、地域の未来を共に考える行為。課題を共に語り、信頼を積み重ねることで、官民が対等な立場で地域の価値を育てていくのです。



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|ライター:秋谷進(たちばな台クリニック小児科)-150x112.png)
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