
日本銀行が12月15日に公表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、国内企業の人手不足がさらに深刻化している実態が示されました。雇用状況を表す「雇用人員判断指数(DI)」は全規模・全産業でマイナス38となり、バブル期の1991年8月以来、34年ぶりの人手不足超水準を記録しました。特にサービス業で不足感が強く、企業の賃上げ意欲を押し上げる要因となっています。
雇用人員判断DIは、人員が「過剰」と答えた割合から「不足」と回答した割合を引いた指標で、マイナス値が大きいほど深刻な人手不足を意味します。今回の調査では、全体のDIが9月調査のマイナス36から2ポイント悪化しました。非製造業はマイナス46(前回比2ポイント悪化)、製造業もマイナス25(同1ポイント悪化)となっています。
背景には、少子高齢化による労働供給の減少に加え、需要回復による雇用需要の拡大があります。建設業や運輸業などではすでに慢性的な人手不足が指摘されており、企業は人材確保のため賃上げや待遇改善を急ぐ動きが広がっています。特に宿泊・外食業などでは「求人を出しても応募がない」との声が相次ぎ、人件費の上昇を価格転嫁する動きもみられます。
一方で、人手不足は中小企業ほど深刻とされています。先行きの雇用人員DIでは、大企業よりも中小企業がより強い人手不足を見込んでおり、採用競争の激化が予想されます。中小企業では労働力確保のため新卒一括採用にこだわらず、中途採用や外国人労働者受け入れの拡大を検討する企業も増えつつあります。
設備投資計画は上方修正、資金繰りも安定傾向
今回の短観では、企業の設備投資意欲が底堅いことも明らかになりました。2025年度の設備投資計画は全規模・全産業で前年度比8.9%増と、9月調査の8.4%増から上方修正されました。過去の傾向では12月調査で下方修正されることが多いですが、今回は例外的に改善。米国の関税政策をめぐる不透明感が後退したことや、資材価格の上昇が投資額を押し上げたとみられます。
一方、企業の業績見通しについては、2025年度の経常利益が全規模・全産業で前年度比2.7%減益になる見込みですが、9月時点の4.8%減から、想定よりは下げ幅が縮小しました。企業の収益環境は依然として厳しいものの、円安効果や内需回復に支えられており、大企業を中心に投資姿勢は維持されています。
また、資金繰り判断DI(資金繰りが「楽」と答えた割合から「苦しい」を引いた値)は全体でプラス10と横ばい。大企業(プラス13)、中小企業(プラス8)ともに安定傾向を保っています。低金利環境が続く中、企業の資金調達は概ね良好とされ、日銀による緩和的な金融政策が引き続き支えになっています。
人手不足の長期化と設備投資の拡大が同時進行する中で、今後の焦点は賃上げがどこまで広がるかに移りつつあります。労働需給逼迫が続けば、賃金上昇を通じて物価にも上昇圧力がかかる可能性があり、日銀の金融政策運営にも影響を及ぼすとみられます。来年春闘や消費動向への波及を含め、持続的な成長実現に向けた対応が問われています。








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