バイデン米政権が中国への投資規制を発表 半導体・AI・量子技術の3分野
バイデン米政権は9日、米国の企業や個人による中国企業への投資を規制すると発表しました。規制対象は半導体、AI、量子技術の3分野であり、安全保障上の脅威に絡む取引を禁じるほか、政府への届け出義務を課す措置を取ります。
米国が広範な対外投資規制を行うのは今回が初めてで、G7などの同盟国と連携する方針を明らかにしています。日本にも足並みをそろえるよう求める可能性があるとのことです。
軍事転用の恐れがある一部の先端技術においては中国への輸出規制を強化する反面、それ以外の分野では経済活動を続ける方針を示しています。その一方で中国政府は、半導体の材料などに使われるガリウムとゲルマニウムの関連品目について、8月1日から輸出規制を実施しました。
バイデン大統領が9日に署名した新たな規制の仕組みは、対象国・地域として中国と香港、マカオを指定しており、発効は来年になるとみられています。
さらに、軍事技術の開発につながる合併・買収、そして合弁事業なども投資規制の対象となります。5月に開催されたG7広島サミットで、対外投資に関するリスクへの対処を共同声明に盛り込んだことが「重要な一歩」になったとのことです。
バイデン米政権の取り組みに対してネット上では、「日本も見習って同様の規制を行うべき」「輸出入規制をかけるなら投資規制をかけるのは当然の流れでしょう」などの意見が寄せられています。
中国商務省の報道官が対抗措置を示す
中国商務省の報道官は10日、米国の規制に対して強い懸念を示しました。「アメリカの規制が企業の正常な経営の意思決定に影響を与え、国際的な経済貿易の秩序を破壊することに重大な懸念を示すとともに、措置をとる権利を保持している」と発言しており、対抗措置の可能性を示唆しました。
さらに報道官は、「アメリカが市場経済のルールと公平な競争の原則を尊重し、世界経済の回復と成長に障害を設けないよう望む」と指摘しています。
一方、磯崎官房副長官は記者会見で米国の新規制について言及しました。「大統領令はあくまでも新たな規制の策定を財務長官に指示するもので、具体的な措置は今後、アメリカ国内で意見を聴取をした上で検討していくと理解している。わが国としては規制の効果や影響も含めて、アメリカの今後の対応や検討状況ついて注視し、引き続き、よく意思疎通を図っていきたい」との考えを示しました。今後のバイデン米政権と中国の関係性に注目が集まります。