NTTドコモ、「空飛ぶ基地局(HAPS)」の商用化を2026年にスタート 約150億円の出資

NTTドコモは3日、無人航空機を活用した「空飛ぶ基地局(HAPS)」の商用化を2026年に目指すと発表しました。

HAPS(ハップス)はアンテナを搭載した無人機を成層圏に飛ばし、上空から電波を発信します。地上の基地局と比べ、はるかに広いエリアをカバーできる点が特長です。

NTTの島田明社長は記者会見で、「効果の高いサービスを提供できる」と自信を見せました。実現に向けて、ドコモなど4社が機体開発を手がけるエアバス子会社に最大1億ドル(約150億円)を出資します。

西日本での実証実験を経て、まずは災害時の通信障害の早期復旧に活用する計画です。将来的には、人里離れた地域でのサービス提供や、産業用途での活用も期待されています。

また、HAPSは5Gの普及にも一役買うかもしれません。広大なエリアを効率的にカバーできるため、基地局の設置コストを大幅に削減できるのです。宇宙から繋がる次世代の通信サービスに注目が集まります。

ネット上では、「スターリンクに負けないでほしい」「自前で回線を確保しておくのは重要なことと思う」「スターリンクで十分でしょ」などの意見が寄せられています。

HAPSの利点と課題 スマートフォンとの直接通信が可能

NTTドコモが取り組むHAPSは、低軌道衛星と比べていくつかの利点があります。専用端末が不要でスマートフォンと直接通信でき、通信遅延も抑えられるのが主な特長です。

一方で、太陽光発電を動力源とするため、日照時間の短い高緯度地域での運用が課題となっていました。しかし、アルトが開発中の無人機「ゼファー」は、大容量バッテリーにより米国で2022年に64日間の連続飛行を達成しています。

アルトのサマー・ハラウィ最高経営責任者(CEO)は、「日本から世界にサービスを展開していきたい」と意欲を示しました。NTTドコモも東南アジアなどの新興国への展開を視野に入れています。

HAPSは、インターネットが使えない地域の人々にも光明をもたらす可能性を秘めています。デジタル格差の解消に貢献すると期待される中、世界のHAPS市場は急速に拡大すると予測されています。

日本勢はこの分野で世界をリードしており、NTTは「NTT C89」という宇宙関連事業のブランドを新たに立ち上げ、事業拡大への意欲を示しました。さらに、アメリカのAmazonと手を組み、衛星通信事業にも参入する計画です。

NTTやドコモには、それぞれの技術の特性を最大限に生かしたサービスの開発が求められます。両社の取り組みによって、いつでもどこでも、誰もが高品質な通信を享受できる世界が実現するかもしれません。

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